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ここでは、「心証が悪い」と「心象が悪い」の違いについて、それぞれの意味や例文、類語と共に分かりやすく解説します。

「心証が悪い」とは

「心証が悪い」という表現は、何かを見たり経験したりした結果、心の中で感じる印象や感情が否定的な、つまり敬遠したくなるような状態を表します。この「悪い」心証は、その人や物事の本質的な価値とは関係なく、個々の感情や気分、判断基準による主観的な評価に基づいています。これは特定の行為や態度、外見、言葉遣い等によって生じることが多いもので、それが自己の感情や価値観と相容れないときに「心証が悪い」と感じます。

例文:彼の高圧的な態度から心証が悪い。

「心象が悪い」とは

「心象が悪い」とは、その人や物事に対して持つイメージや感じが良くない、悪印象を抱いているという意味です。「心象」は、自己の心の中に存在するイメージや印象のことを指し、一般的には具体的な出来事や行動を基に形成されます。当然ながら、主観的な要素が強い表現です。

例えば、「彼の言動から心象が悪い」とは、その人の行動や態度、言葉遣いなどから生まれる個人的な印象が悪いという意味となります。心象は一度悪くなると、それを覆すのは一筋縄ではいかないことが多いので、人間関係をスムーズにするためには、心象が悪いと感じるような行動を避けることが重要となります。類語としては、「印象が悪い」があります。

「心証が悪い」と「心象が悪い」の違い

「心証が悪い」とは、人や物事に対する印象や感じが良くない、不快だという意味です。例えば、「彼は態度が悪くて心証が悪い」というように使用します。

一方、「心象が悪い」は誤用です。正しくは"映像"や"像"といった意味合いの「心象」です。心の中に映し出される像などの意味で使用します。心理学では思考や記憶、想像など脳の内部で形成される像のことを指します。

つまり、「心証が悪い」は「感じる」ことに重点が置かれ、「心象」は「思考や想像」に重点が置かれるという違いがあります。このため、「心象が悪い」という表現を使いたくなった場合は、「心証が悪い」を使うのが適切です。

「心証が悪い」の例文・使い方

  1. 彼の初対面時の態度が不快で、心証が悪い。
  2. その店の店員の対応が無愛想だったので、心証が悪い。
  3. 自己紹介すらろくにできないのだから、面接官としては心証が悪かった。

「心証が悪い」は、自分が他人や事柄に対して持つ感じ方や印象が負の方向に傾いた状態を表す言葉です。主に、特定の人や場所、出来事に対する不快感や違和感を指します。使用時の注意点としては、感情的な言葉であるため、その人や出来事に独自の価値観で判断していることを示すので、その感じ方が全ての人に共通するとは限らないことを意識することです。また、あくまで感じ方であり、実際の評価や事実とは異なる場合があることも忘れないようにしましょう。

「心象が悪い」の例文・使い方

  1. その店の接客態度があまりにもひどくて、心象が悪かった。
  2. 彼の挨拶もなく帰ってしまい、心象が悪い。
  3. 彼女が相手の心象を悪くしてしまうような言動をとった。

「心象が悪い」という表現は、自分自身が感じた何かの印象や感情が悪いということを示します。心の中に残った印象が良くないというニュアンスを含む言葉で、失礼な行為やマナー違反などからくる不快感や違和感を表すのに使われます。常に他者に対する評価や印象を考えながら使うべき表現で、自分中心の視点からひとりよがりの評価を述べる際には使わない方が良いでしょう。また、具体的な事象に基づいて使うことで、その悪い印象の理由や根拠を明瞭にする助けとなります。

「心証が悪い」「心象が悪い」の類語・言い換え

心証とは、「自分が相手に対して持ったことや見たことに基づく感じ方」や「その人と関わることで生じる自分の気持ち」を指します。心証が悪いとは、その人に対する感じ方や考え方がネガティブ、または不快なものであることを表します。

類語・言い換え(ニュアンス含む)

  1. 印象が悪い(顔見知りの人に対して、初対面時の行動や言葉から得た感じが悪い)
  2. 不快感を感じる(相手の言動などが不愉快で、心地良くない感じがする)
  3. 気が進まない(相手と接するのが面倒で、自分の意志で進める気にならない)
  4. 嫌悪感を抱く(相手の言動などが極めて不快で、反感を覚える)
  5. 鼻につく(相手の行動や態度などが不快で、嫌な気分になる)

一方で心象とは、「心に浮かぶイメージや印象」を意味します。心象が悪いとは、心に描いたイメージや印象がネガティブなものであることを表します。

類語・言い換え(ニュアンス含む)

  1. 想像がつかない(具体的な形を思い浮かべることが難しく、不明確なイメージしか持てない)
  2. イメージが湧かない(何かを思い浮かべるための起点となるような情報がなく、イメージを形成するのが難しい)
  3. 理解が浅い(詳しく知らないために、具体的なイメージを持つのが不可能である)
  4. 描きづらい(具体的な形が思い浮かばず、イメージを明確にするのが難しい)
  5. 理解が乏しい(詳しく知っているわけではないため、具体的なイメージを持つのが難しい)

以上のように、「心証が悪い」は「相手に対する不快感」を、「心象が悪い」は「抽象的な何かに対するイメージの負の感じ方」を表す言葉ということができます。

「心証が悪い」と「心象が悪い」の違いまとめ

「心証が悪い」は他人から受ける印象が良くないという意を表し、他人の行動や言動などから生成される評価や感じ方を指します。一方、「心象が悪い」は自分自身の内部的な感じ方や印象が良くないという意を示し、自身の心の中で描き出されるイメージや感情に基づいた評価を指します。