ビジネスやフォーマルな場面で頻繁に使われる「拝見する」という言葉。正しい使い方や適切な場面を理解していますか?
この言葉は謙譲語として相手に敬意を示す際に用いられますが、誤用すると失礼にあたることもあるため注意が必要です。
この記事では、「拝見する」の正確な意味や基本的な使い方を例文とともに詳しく解説します。また、状況に応じた類似表現や言い換えのフレーズもご紹介。
言葉遣いをさらに洗練させたい方や、相手に好印象を与えたい方に役立つ内容をお届けします!
「拝見する」の意味
「拝見する」は、「見る」の謙譲語であり、自分の行為を謙遜して相手に敬意を示す表現です。
主に目上の人や取引先に対して使用し、自分が何かを見たり確認したりする際に用います。
「拝」には「敬意を表す」という意味があり、へりくだって相手を立てる言葉として機能します。
「拝見する」と間違いやすい表現
「拝見する」は謙譲語として正しく使うことが求められる言葉ですが、誤用が意外と多い表現です。
以下では、「拝見する」と間違いやすい表現を取り上げ、正しい使い方や注意点をわかりやすく解説します。
「拝見させていただきます」などの二重敬語
間違った表現は以下の通りです。
- 拝見させていただきます
- 拝見いたします
- 拝見申し上げます
「拝見する」自体が既に「見る」の謙譲語であり、さらに「させていただく」を重ねることで、同じ種類の敬語を重複させてしまいます。
二重敬語は、かえって敬意が伝わりにくく、文章を冗長にしてしまう欠点があります。正確には、「拝見します」や「拝見しました」と簡潔に表現するのが適切です。
「ご覧になる」などの尊敬語との混同
「拝見する」は自分側の謙譲語であるのに対し、「ご覧になる」は相手側の尊敬語です。この2つは主語が異なるため、混同すると文法的に誤った表現になってしまいます。
「拝見する」は自分が見る行為をへりくだって表現する言葉であり、主語は常に自分または自分の組織になります。
一方、「ご覧になる」は相手の行為を敬う尊敬語であり、主語は目上の人や相手になります。
「拝見する」を使った例文
「拝見する」は、資料やメール、SNSの作品を確認するときなど、日常のさまざまな場面で使える便利な謙譲語です。
以下では、特に目上の人に対して使える具体的な例文を、シーン別にわかりやすく紹介します。
資料やメールを確認したとき
- 「いただいた企画書を拝見しました。非常に興味深く、具体的な提案についてさらに議論を進めさせていただきたく存じます。」
- 「先日送信いただいたメールを拝見しました。ご指摘の点につきまして、改善策を検討中です。」
- 「送付いただいた資料を拝見しました。大変参考になりました。」
SNSや作品を見たとき
- 「〇〇さんの最新の投稿を拝見しました。とても素敵な写真ですね。」
- 「美術館で〇〇さんの作品を拝見しました。その繊細で力強い表現に深い感銘を受けました。
目上の人と会ったとき
- 「先日の会議でお姿を拝見しました。お元気そうで何よりです。」
- 「久しぶりにお顔を拝見できて、大変うれしく存じます。」
「拝見する」の言い換え表現
「拝見する」は、「見る」や「会う」の謙譲表現として使われますが、場面によっては他の言葉に言い換える方が適切な場合もあります。
以下では、「拝見する」の意味ごとに使える言い換え表現をわかりやすく解説します。
「見る」という意味の言い換え
確認する
「確認する」は、何かをはっきりと確かめる意味があり、ビジネスシーンでよく使われる言い換え表現です。
例文:
「資料を確認いたします。」
「いただいた書類を確認しました。」
査収
「査収」は、受け取ったものをよく調べて確認するという意味を持つ言葉です。主にビジネス文書やメールで使用されます。
例文:
「送付いただいた書類を査収いたしました。」
「会う」という意味の言い換え
お目にかかる
「お目にかかる」は、「会う」の謙譲語で、「拝見する」の「会う」という意味合いで使用できます。
例文:
「お目にかかることができて光栄です。」
「お目にかかれることを楽しみにしています。」
「拝見する」と似た謙譲語表現
「拝見する」と同じように、「拝」のつく謙譲語には、「拝受する」「拝読する」「拝聴する」などがあります。
以下では、これらの表現の意味や使い方を例文とともに解説します。
拝受する
「受け取る」の謙譲語で、資料やメールを受け取った際に使います。
例文:
「先日ご連絡いただいていた資料を拝受しました。」
拝読する
「読む」の謙譲語で、文章や書類を読む際に使います。
例文:
「先生の著書を拝読し、多くの気づきを得ました。」
拝聴する
「聞く」の謙譲語で、講演や話を聞く際に使います。
例文:
「先日の講演会で先生のお話を拝聴しました。」
「拝見する」まとめ
「拝見する」は、謙譲語としてビジネスやフォーマルな場面で欠かせない表現のひとつです。
この記事でご紹介した使い方や注意点、さらには類似表現を参考にすれば、より適切で洗練された言葉遣いを身につけることができます。
日常の会話やメールで積極的に「拝見する」を使いながら、正しい日本語を意識することが重要です。
他の敬語表現にも触れつつ言葉遣いの幅を広げていくことで、さらに円滑で丁寧なコミュニケーションが実現します。本記事を参考に、敬語のスキルを一段と高めてみましょう!