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「パート」と「アルバイト」の違いについて、法的な定義や待遇の違いを詳しく理解していますか?

実は、この二つには雇用形態や労働条件で微妙な違いがあり、働き方を選ぶ上で重要なポイントとなります。

この記事では、法的な違いや具体的な待遇の差を分かりやすく解説し、あなたに合った働き方を選ぶための参考情報を提供します。

この記事を読むことで、自分に最適な雇用形態を見極め、納得のいく働き方を実現するヒントが得られるはずです。

パートとアルバイトの違い

「パート」と「アルバイト」は、どちらも短時間勤務をイメージしますが、実際には違いがあります。

ここでは、法的な定義や待遇の差を詳しく解説し、それぞれの特徴を分かりやすくお伝えします。

法的な違いはない

パートとアルバイトは、法律上明確な区別はありません。

パートタイム労働法では、両者とも「短時間労働者(パートタイム労働者)」として定義されています。

具体的には、「1週間の所定労働時間が、同じ事業所に雇用されている正社員などと比べて短い労働者」を指します。

つまり、呼称は異なっても、労働時間が正社員より短ければ、パートもアルバイトも同じ法的扱いを受けることになります。

企業が求人を出す際に「パート」や「アルバイト」と表記を使い分けているだけで、実質的な法的な違いは存在しないのです。

パートの意味

パートは、「パートタイム労働者」の略称で、正社員よりも短い労働時間で働く非正規雇用の労働形態を指します。

一般的に、週4〜5日、1日4〜6時間程度の勤務が多く、長期的な雇用を前提としています。主に主婦や定年後の再就職者に人気があり、家庭と仕事の両立を図りやすい働き方として知られています。

パートは、時給制だけでなく日給制や月給制も採用されることがあり、正社員に近い待遇や福利厚生を受けられる可能性も高い雇用形態です。

企業によっては、正社員登用の可能性もあるため、キャリアアップの機会としても注目されています。

アルバイトの意味

「アルバイト」の語源は、ドイツ語の「arbeit」で、本来は「労働」や「仕事」を意味する言葉です。

日本では明治時代に使われはじめ、当初は学生が授業後に家庭教師をして稼ぐ際に、仲間内で使っていた隠語でした。

次第に一般的な言葉となり、現在では主に学業や本業の合間に行う一時的な仕事、またはその仕事に従事する人を指すようになりました。

このような背景から、「アルバイト」は「10〜20代の学生や若者」というイメージが強く定着しています。

求人情報の違い

「パート」と「アルバイト」は、求人情報の記載内容にも違いが見られます。

それぞれの募集条件や仕事内容の特徴を知ることで、自分に合った働き方を見つけやすくなります。

どちらに応募しても問題ない

アルバイトとパートは、法律上の扱いに違いはありません。

求人情報では職種や勤務形態によって使い分けられていることが多いですが、実際の応募においてはどちらを選んでも問題ありません。

一般的な傾向として、主婦・主夫の経験が活かしやすい日中の固定シフトや長期雇用を前提とした仕事は「パート」。

体力を要する仕事や夜間・早朝のシフト、短期・単発の仕事は「アルバイト」として募集されることが多いです。

しかし、これらは絶対的なルールではなく、応募条件に合致していれば主婦・主夫が「アルバイト」に、学生やフリーターが「パート」に応募することも可能なのです。

条件により時給が異なる場合がある

パートとアルバイトの時給は、職種や勤務時間、経験値によって大きく変動する可能性があります。

例えば、同じ飲食店でも、経験豊富な主婦のパートは、未経験の学生アルバイトよりも高い時給を得られることがあります。

また、専門性が高い職種や責任のある業務では、パートの方が時給単価が高くなる傾向があります。

さらに、長期雇用を前提とするパートは勤続年数に応じて昇給されやすく、アルバイトと比較して安定した収入を得られる可能性が高いのが特徴です。

パートタイム労働者とは

パートタイム労働者とは、一般的に正社員よりも短い労働時間で働く人を指します。

ここでは、法的な定義や特徴を詳しく解説し、その働き方のポイントを分かりやすくお伝えします。

パートタイム労働者の定義

パートタイム労働者とは、同一の事業所に雇用される通常の労働者(正社員)の1週間の所定労働時間と比べて短い時間で働く労働者を指します。

具体的には、フルタイムの正社員よりも労働時間が短い従業員を意味し、呼称は「パートタイマー」「アルバイト」「契約社員」「臨時社員」など多岐にわたります。

法律上、これらの呼称に関わらず、労働時間が正社員より短い労働者は全て「パートタイム労働者」として同じ法的保護の対象となります。

企業ごとに異なる呼称や運用があっても、基本的な法的定義は共通しているのです。

パートタイム労働者の待遇

パートタイム労働者の待遇は、企業や職場によって異なりますが、正社員と比べて異なる点も多いです。

以下では、パートタイム労働者の具体的な待遇や法律で定められた条件について解説します。

有休はあるのか

パートタイム労働者にも有給休暇は付与されます。ただし、その日数は労働時間や勤務日数によって異なります。

有給休暇を取得するには、2つの条件があります。

  1. 雇入れの日から6か月以上継続して勤務していること
  2. その期間の全労働日の8割以上出勤していること

週の所定労働日数が少ない場合でも、比例的に有給休暇が付与されます。

例えば、週1日勤務の場合は1日、週2日勤務なら3日、週3日勤務は5日、週4日勤務で7日の有給休暇が与えられます。

勤続年数を重ねるごとに有給休暇の日数も増加していくため、長期で働く場合はより多くの有給休暇を取得できる可能性があります。

交通費はもらえるのか

交通費の支給は企業の福利厚生の一環として扱われており、法的に義務付けられているわけではありません。

しかし、2020年4月の「パートタイム・有期雇用労働法」施行により、正社員に交通費が支給されている場合、パートタイム労働者も同様の待遇を受けられる可能性が高まりました。

具体的には、正社員と同じ仕事内容や責任を負っているパートタイム労働者に対して、交通費の支給を差し控えることは不合理な待遇差と判断される可能性があります。

実際の支給額や方法は各企業の規定によって異なるため、採用時に確認することをおすすめします。

社会保険・雇用保険に入れるのか

パートタイムやアルバイトでも、一定の条件を満たせば社会保険や雇用保険に加入できます。

主な加入条件は以下の通りです:

  • 週の所定労働時間が20時間以上であること
  • 月額賃金が8.8万円以上であること
  • 雇用期間が2ヶ月を超える見込みがあること
  • 学生でないこと(一部例外あり)

2022年10月以降、社会保険の適用範囲が拡大され、より多くのパートタイム労働者が加入可能となりました。

特に従業員51人以上の企業では、これらの条件を満たすパートやアルバイトは社会保険への加入が義務付けられています。

加入することで、健康保険や厚生年金のなどの福利厚生を受けられるメリットがあります。

残業代は支給されるのか

パートタイム労働者にも、残業代は正社員と同様に支給されます。法律上、雇用形態に関わらず、所定労働時間を超えた労働に対しては適切な賃金を支払う義務があります。

具体的には、1日8時間、週40時間を超える労働については、通常の時給に25%以上の割増賃金を支払う必要があります。深夜勤務(22時〜翌5時)の場合は、さらに25%の割増が追加されます。

残業代の計算は1分単位で行われ、タイムカードや勤務記録に基づいて正確に支払われるべきです。

パートタイム労働者も労働基準法で保護されており、適切な残業代の支払いは雇用主の法的義務となっています。

産休・育休は取得可能か

パートやアルバイトでも、正社員と同様に産休・育休を取得できます。

産休は、妊娠中および出産後の女性労働者であれば、雇用形態や労働時間に関わらず全員が取得可能です。具体的には、産前6週間と産後8週間の休業が保障されています。

育休については、一定の条件を満たす必要があります。例えば、現在の会社で1年以上働いていること、子どもの1歳の誕生日以降も雇用が見込まれることなどが求められます。

ただし、週の労働日数が2日以下の場合や、雇用期間が1年未満の場合は対象外となることがあるため、事前に勤務先に確認することが重要です。

扶養控除は対象か

パートタイム労働者の扶養控除については、明確な基準があります。

税法上、扶養控除の対象となるのは年収103万円以下の場合です。具体的には、給与収入から給与所得控除額55万円を引いた給与所得額が48万円以下であることが条件となります。

年収が103万円を超えると、扶養控除を受けられなくなり、所得税の課税対象となります。ただし、勤労学生控除により、年収130万円までは所得税が非課税となる場合もあります。

パートやアルバイトで働く際は、扶養控除の範囲内で収入を調整することが重要です。年末調整の際に、給与所得者の扶養控除等申告書を提出することで、控除を受けることができます。

その他福利厚生は受けられるのか

パート・アルバイトでも、企業の法定外福利厚生を利用できる可能性があります。近年、同一労働同一賃金の考え方が浸透し、非正規雇用者への待遇改善が進んでいます。

代表的な法定外福利厚生には、まかない・社食などの食事補助、健康診断、通勤手当、書籍代やセミナー代の補助、施設利用などがあります。

これらの福利厚生は、正社員との不合理な待遇差を設けることが禁止されているため、条件を満たせば利用できる可能性が高まっています。

特に食事補助は、パート・アルバイト従業員に人気の福利厚生です。食費の節約につながるため、従業員のモチベーション向上にも効果的です。

パート・アルバイトで働くメリット

パートやアルバイトで働くことには、柔軟な勤務時間やスキルアップの機会など、多くのメリットがあります。

以下では、それぞれの働き方がもたらす具体的な利点について詳しく解説します。

働き方を柔軟に選べる

パートやアルバイトの最大の魅力は、自分のライフスタイルに合わせて働く時間や日数を調整できる柔軟性です。

例えば、子育て中の主婦は幼稚園のお迎え時間に合わせて午前中だけ働いたり、学生は試験期間中はシフトを減らし、長期休暇中は多めに働いたりすることができます。

スーパーやコンビニなどのシフト制の職場では、希望する曜日や時間帯に働くことが可能で、プライベートと仕事のバランスを自分でコントロールしやすいのが特徴です。

正社員よりも採用されやすい

パート・アルバイトは、未経験者でも応募しやすい求人が豊富です。

正社員採用と比べて、選考基準が緩やかで、経験や資格を厳しく問われないケースが多いのが特徴です。

マイナビバイトなどの求人サイトには、「未経験者歓迎」の求人が数多く掲載されており、様々な業種で挑戦のチャンスがあります。

これにより、スキルや経験が少ない人でも新しい仕事に挑戦しやすく、キャリアの第一歩を踏み出しやすい環境が整っているのです。

責任が重くない

フルタイムで働く正社員と比較すると、パート・アルバイトは業務に伴う責任が比較的軽い傾向があります。

通常、マニュアル化された特定の作業を任されることが多く、精神的な負担は少なめです。

売上管理やマネジメント業務、顧客対応などの複雑な業務は主に正社員が担当するため、パート・アルバイトは比較的シンプルな役割に徹することができます。

ただし、仕事に慣れてくれば、徐々に責任のある仕事を任されるチャンスも生まれます。

スキルアップや収入アップを目指す方は、与えられた仕事に真摯に取り組むことで、職場での評価を高めることができるでしょう。

場合によっては掛け持ち可能

パートやアルバイトの掛け持ちは、多くの場合可能です。

ただし、勤務先の就業規則で副業や掛け持ちが禁止されていないかを事前に確認することが重要です。

近年では、副業を歓迎する企業も増えてきており、パートの掛け持ちは比較的柔軟に対応されています。

掛け持ちのメリットは、収入の安定と多様な経験を得られることです。一つの職場で仕事がなくなっても、もう一つの職場があれば精神的な余裕が生まれます。

ただし、年収や社会保険の観点から注意が必要です。

年収が103万円を超えると税金がかかり、130万円を超えると配偶者の扶養から外れる可能性があるため、収入のバランスに気をつけましょう。

パート・アルバイトで働くデメリット

パートやアルバイトで働くことにはメリットだけでなく、収入の安定性やキャリア形成などのデメリットもあります。

ここでは、それぞれの働き方で注意すべき課題やデメリットを詳しく解説します。

給与が安定しにくい

パート・アルバイトは時給制が基本のため、収入が不安定になりやすい特徴があります。

働いた時間に応じて賃金が支払われるため、シフトの入り方によって毎月の収入が大きく変動します。病気や急な休みで働けない場合、その分の収入が減少するリスクがあります。

また、企業の業績や繁閑期によってシフト時間が削減されることもあり、希望通りに働けない可能性も高くなります。

正社員の固定給と比べると収入の予測が難しく、経済的な計画を立てにくいのが大きな特徴と言えるでしょう。

長期雇用の保証はない

パート・アルバイトは、長期雇用が保証されているわけではありません。

企業の業績や経営状況によって、雇用契約が突然終了する可能性があります。多くの場合、有期雇用契約を結んでおり、契約期間は半年や1年と限定的です。

契約更新の際も、会社側の判断で更新されない「雇い止め」のリスクが常に存在します。

特に景気悪化や業務縮小時には、パート・アルバイト従業員から優先的に契約を終了させられることがあります。

このため、安定した収入や将来の見通しを立てることが難しく、常に雇用不安と隣り合わせの状況に置かれています。

特定の福利厚生を受けられない場合もある

パート・アルバイトは、正社員と比較して福利厚生の適用範囲が限定的な場合があります。

例えば、住宅手当や家族手当などの法定外福利厚生は、正社員のみに適用される傾向があります。

また、企業によっては、社員旅行や慶弔金、各種保険など、一部の福利厚生サービスからパート・アルバイトが除外されることもあります。

これらの待遇格差は、「同一労働同一賃金」の観点から徐々に是正されつつありますが、依然として企業によって大きな差があるのが現状です。

パートとアルバイト違いは?まとめ

「パート」と「アルバイト」は似ているようで、法的な定義や待遇に違いがあります。

この記事では、その違いを明確に解説し、どちらが自分に合っているか判断するためのポイントを紹介しました。

働き方を選ぶ際は、自分のライフスタイルや目標に合った雇用形態を選ぶことが大切です。 迷ったら、この記事を参考に条件を整理し、納得のいく選択をしてください!