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退職メールは、キャリアの節目において非常に重要なコミュニケーションツールです。しかし、多くの人が適切な文面や送信タイミング、マナーについて不安を抱えています。

退職メールの作成は、円満な退職を実現するための重要なステップであり、そのポイントを押さえることが求められます。

本記事では、退職メールの具体的な書き方や注意すべきポイント、上司や同僚への配慮の仕方、さらには送信のタイミングについて詳しく解説します。

これまで築いてきた人間関係を大切にしつつ、新しいキャリアステップへ円滑に移行するためのノウハウをぜひご活用ください。

【基本マナー】退職の挨拶メールの書き方

ここでは、退職の挨拶メールの書き方の基本をご紹介します。

社内向けの退職メール

最終出社日に送る

社内向けの退職メールは、最終出社日に送信するのが基本的なマナーです。

退職の挨拶メールは、最後の仕事の締めくくりとして重要な意味を持ちます。業務に支障をきたさないよう、退社の1時間前以降に送信するのがおすすめです。

ただし、企業によって独自のルールがある場合もあるため、事前に確認することが大切です。送信タイミングが分からない場合は、先輩や上司に相談し、適切なタイミングを確認しましょう。

メールを送る際は業務の繁忙時間を避け、落ち着いて丁寧に作成することを心がけてください。

関係性によっては個別メールで感謝を述べる

社内の上司や同僚に送る退職メールは、これまでの感謝の気持ちを伝える重要な機会です。

特に直属の上司や長年一緒に仕事をしてきた同僚には、具体的なエピソードを交えながら感謝の言葉を伝えることで、より深い印象を残すことができます。

例えば、一緒に成功したプロジェクトや困難な局面を乗り越えた思い出、あなたの成長を支えてくれた具体的な指導や助言について触れると、心のこもった挨拶メールになります。

メールでは、相手との関係性に応じて、温かみのある言葉で感謝の気持ちを率直に表現することが大切です。

「お世話になりました」と述べるだけでなく、相手との思い出や学びを具体的に共有することで、より印象的な退職メールを作成できるでしょう。

社内メールは一斉送信

社内への退職メールは、基本的に一斉送信で行います。

メールの送信対象は、自分が所属している部署や関係する部署の全メンバーが中心となります。一斉送信する際は、簡潔でシンプルな文面が鉄則です。

具体的には、退職の事実、最終出勤日、感謝の言葉を簡潔に伝えることが重要です。長々とした文章は避け、読み手が一目で内容を理解できるような文面を心がけましょう。

また、件名も「退職のご挨拶【部署名 氏名】」のようにシンプルかつ明確にすることで、受信者に確実に情報を伝えることができます。

退職の挨拶メールで必要な内容

退職の挨拶メールには、具体的かつ丁寧な内容を盛り込むことが重要です。まず、退職日と最終出社日を明確に記載しましょう。

退職理由は「一身上の都合」とシンプルに伝え、詳細な説明は避けます。これは、不必要な憶測や職場の雰囲気を悪くするリスクを防ぐためです。

感謝の気持ちを率直に表現し、これまでお世話になった上司や同僚への感謝の言葉を添えることで、良好な関係性を維持できます。

必要に応じて、退職後の連絡先や後任者の情報も記載すると親切です。

最後に、会社や同僚の今後の発展と健勝を祈る言葉を添えることで、前向きで好印象な退職メールになります。

社外向けの退職メール

最低でも退職2週間前に送る

社外向けの退職メールは、遅くとも退職日の2週間前までに送信することが重要です。この2週間前というタイミングには、いくつかの重要な意味があります。

まず、取引先に急な連絡にならないよう配慮しつつ、スムーズな業務引き継ぎを可能にします。

また、後任の担当者を紹介し、業務に支障をきたさないことを伝える余裕が生まれます。

具体的には、後任者の名前や連絡先、引き継ぎの目処などを明確に記載することで、相手に安心感を与えることができます。

退職理由は「一身上の都合」で大丈夫

退職メールで「一身上の都合」を使用することは、完全に社会的に認められた表現です。

具体的な退職理由を詳細に説明する必要はなく、プライバシーを守りながら丁寧に退職の意思を伝えることができます。

具体的な理由を聞かれた場合も、「キャリアアップを目指している」などポジティブな表現で対応するのがベストとされています。

退職の挨拶メールで必要な内容

社外向けの退職メールには、取引先に安心感を与える重要な要素を盛り込む必要があります。まず、退職日と最終出社日を明確に記載することが大切です。

次に、後任者の名前と引継ぎについての具体的な説明を入れましょう。取引先が業務に支障をきたさないよう、スムーズな引継ぎを保証する内容が求められます。

感謝の気持ちも欠かせません。これまでの取引や協力に対する心からのお礼の言葉を、具体的なエピソードや印象に残る言葉で表現すると、より好感度の高いメールになります。

気を付けるべきポイント

感謝の気持ちを伝える

退職メールで最も重要なのは、心からの感謝の気持ちを誠実に伝えることです。

単なる形式的な挨拶ではなく、具体的なエピソードや思い出を交えることで、より深い感謝の気持ちを表現できます。

具体的なエピソードは、相手との関係性や思い出を振り返る機会となり、温かい印象を残すことができます。

件名は退職することを明記

退職の挨拶メールの件名は、受信者が一目で内容を理解できるようにすることが重要です。

「退職のご挨拶」や「退職のご連絡」といったシンプルで明確な表現を使用しましょう。可能であれば、自分の名前や所属部署も追記すると、より分かりやすくなります。

社外の取引先に送る場合は、社名も含めると、さらに明確になります。「退職のご挨拶【株式会社○○ 山田太郎】」といった形式が推奨されます。

関係性が浅くてもメールを送る

退職の挨拶メールは、直接関わりがなかった部署や接点が少なかった同僚にも送ることをおすすめします。会社内の人間関係は広がりがあり、将来的に再び会う可能性もあるからです。

たとえ直接仕事で関係がなくても、丁寧な挨拶メールを送ることで、相手に良い印象を残すことができます。

このような心遣いは、キャリアにおける人脈形成にも良い影響をもたらすでしょう。

愚痴などネガティブな言葉はNG

退職時の挨拶メールに会社への不満や愚痴、批判的な言葉を書くことは絶対に避けるべきです。

ネガティブな感情を吐露することは、あなたの今後のキャリアに悪影響を及ぼす可能性があります。

将来、同じ業界や関連する企業で働く際に、悪い評判が先行してしまう恐れがあるからです。

代わりに、感謝の気持ちと前向きな姿勢を示すことで、良好な人間関係を維持し将来の人脈づくりにもつながります。

退職挨拶メールの書き方

ここでは、退職挨拶メールの書き方の構成にいてご紹介します。

件名

退職の挨拶メールの件名は、一目で退職のお知らせと分かるシンプルで明確な表現が重要です。

「退職のご挨拶」や「退職のご連絡」といった直接的な件名が最適です。社外向けの場合は、社名と氏名も追加すると、より分かりやすくなります。

例えば、以下のような件名が適切です:

  • 社内向け:「退職のご挨拶【○○(氏名)】」
  • 社外向け:「退職のご挨拶【株式会社○○ ○○(氏名)】」

曖昧な件名は避け、受信者が内容をすぐに理解できるようにしましょう。

宛名

退職メールの宛名は、送信先によって異なります。社内の全体メールの場合は「○○部の皆様」や「関係者各位」と記載するのが一般的です。

上司や特定の同僚に送る場合は、「○○部 部長 ○○さん」や「△△さん」など、具体的な名前と役職を明記します。

社外の取引先へのメールでは、「株式会社○○ ○○部 ○○様」のように、相手の会社名、部署、氏名を丁寧に記載することが重要です。

挨拶

本文を書き始める前に、まずは挨拶文を書きます。退職メールを書き始める際は、以下のようなフレーズが好印象です。

  • お疲れ様です。〇〇部の〇〇です。
  • いつもお世話になっております。
  • 平素より大変お世話になっております。

本文

退職の挨拶メールの本文は、誠実さと感謝の気持ちを込めて作成することが重要です。退職の理由を簡潔に伝えつつ、直接挨拶できないことへの丁寧な謝罪を心がけます。

在職中に携わった仕事や、共に働いた同僚への感謝の気持ちを具体的に表現することで、これまでの人間関係への敬意を示します。

また、今後の抱負や決意を述べることで、前向きな姿勢を伝えることができます。

メールの文面は、送信先との関係性によってトーンや内容を調整し、相手の立場に配慮した丁寧な文章を心がけましょう。

締め

退職メールの締めくくりは、感謝の気持ちと今後の抱負を簡潔に表現することが大切です。「〇年間大変お世話になりました」という定型文に続けて、

  • 今後も学んだことを活かし、精進してまいります。
  • 皆様のご健康とご活躍を心よりお祈り申し上げます。
  • 本当にありがとうございました。

このような言葉で、温かみのある前向きな締めくくりを心がけましょう。最後は感謝の気持ちを忘れずに、誠実で好印象な締めくくりを意識してください。

署名

社内向けのメールであれば、部署名+氏名、社外向けであれば、会社名+部署名+氏名を書きましょう。

また必要であれば、メールや電話番号などの連絡先の記載しましょう。

【例文】退職時の挨拶メールをシーン別で解説

ここでは、シーン別で退職時の挨拶メールの例文をご紹介します。

社内向けの退職メール

社内へ一斉送信したい場合

私事で大変恐縮ですが、このたび、一身上の都合により○月末で退社することになり、本日が最終出社日となりました。

本来であれば直接ご挨拶をすべきところ、メールでの挨拶となり失礼いたします。

入社から〇年、皆様には大変お世話になりました。業務を通して多くのことを学ばせていただき、心より感謝申し上げます。

最後になりましたが、皆様のさらなるご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げます。今まで、本当にありがとうございました。

お世話になった方へ送る場合

私事で恐縮ですが、このたび一身上の都合により、〇月〇日をもちまして退職することとなりました。最終出社日は〇月〇日を予定しております。

本来であれば直接お伺いしてご挨拶すべきところ、メールでの挨拶となり大変申し訳ございません。

在職中は、〇〇様に多大なるご支援とご指導を賜り、心より感謝申し上げます。特に〇〇プロジェクトでは、貴重な経験と学びを得ることができました。

後任は、同じ部署の〇〇が引き継ぎいたします。今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

後任者へ送る場合

私事で恐縮ですが、このたび、一身上の都合により○月末をもって退社することになりました。本日が最終出社日となります。

後任として引き継ぎを担当していただくにあたり、業務の詳細について以下の点に注意してお引き継ぎいたします:

  • 現在進行中のプロジェクト状況
  • 重要な顧客リスト
  • 未完了の案件詳細
  • 主要な連絡先情報

退職までにしっかりと業務を引き継ぎますので、どうぞご安心ください。今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

社外向けの退職メール

後日後任者と訪問する場合

私事で恐縮ですが、一身上の都合により〇月〇日をもちまして退職することになりました。最終出社日は〇月〇日の予定です。

在職中は、〇〇様に多大なるご支援とご指導をいただき、心より感謝申し上げます。特に〇〇プロジェクトでは、貴重なアドバイスをいただき、大変お世話になりました。

つきましては、近日中に後任の□□とともに直接ご挨拶に伺いたく存じます。下記の日程でお伺いできればと思います。

〇月〇日(〇)〇:〇〇~〇:〇〇

〇月〇日(〇)〇:〇〇~〇:〇〇

末筆ながら、貴社のますますのご発展と〇〇様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。

後日訪問予定のない場合

私事で恐縮ですが、このたび、一身上の都合により○月○日をもって退職することになりました。最終出社日は○月○日の予定となっております。

本来は直接お伺いしてご挨拶に伺うべきところ、申し訳ございませんが、メールにて失礼いたします。

〇〇様には在職中に何かとお力添えをいただき、心より感謝申し上げます。特に○○プロジェクトでは、貴重なご指導とご支援をいただき、深く感謝しております。

後任は、同じ部署の〇〇が務めさせていただきます。退職までにしっかりと引継ぎを行いますので、どうぞご安心ください。

末筆ながら、貴社のますますのご発展と皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。

【例文】退職時の挨拶メールに返信が来た場合

次に、退職時の挨拶メールに返信が来た場合の返信例について見ていきましょう。

社内向けのメール

お疲れ様です。ご返信いただき、誠にありがとうございます。

お忙しい中、温かいお言葉をいただき、大変心強く感じております。これまでの思い出や、私への励ましの言葉に、深く感謝申し上げます。

在職中にご指導いただいたことを胸に、新たな環境でも全力で頑張ってまいります。今後ともご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

社外向けのメール

この度は、丁寧な返信をいただき、誠にありがとうございます。長年にわたり、私の業務遂行に際しましてご支援とご協力を賜り、心より感謝申し上げます。

特に、○○プロジェクトにおきましては、多大なるご指導とご鞭撻をいただき、深く御礼申し上げます。

今後は新たな環境で、これまでのご指導を糧とし、さらなる成長に努めてまいります。引き続き、変わらぬお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。

退職するときの挨拶メールまとめ

退職メールは、これまでお世話になった方々への感謝と敬意を伝える大切な最後のコミュニケーションです。

このメールを通じて、共に働いた時間への感謝を伝えるとともに、自分の気持ちをしっかりと相手に届けることが重要です。

誠実な気持ちを込めた退職メールを作成することで、これまでの人間関係を大切にしながら、次のステージへ自信を持って進んでいきましょう。