「ご連絡いたします」は敬語として正しい？使い方や注意点を例文付きで解説

「ご連絡いたします」は正しい敬語表現？

「ご連絡いたします」は、ビジネスシーンで頻繁に使われる丁寧な表現ですが、実は厳密に言うと二重敬語に該当する場合があります。

「連絡」という言葉に敬語の接頭語「ご」をつけ、さらに謙譲語である「いたす」を組み合わせるためです。

ただし、日本語の敬語表現では、ある程度慣習として使われている言い回しも多く、「ご連絡いたします」もその一例です。

実際には、多くのビジネスシーンで問題なく受け入れられる表現となっています。

｢連絡する｣の適切な敬語の形は?

「連絡する」を敬語で表現する際には、適切な言い回しを選ぶことが重要です。

ここでは、正しい敬語の形とその使い方を具体的に解説します。

ご連絡差し上げます

「ご連絡差し上げます」は、ビジネスシーンでよく使われる丁寧な謙譲表現で、「差し上げる」が「与える」の謙譲語であることから、相手に敬意を示す意図を持っています。

この表現は、相手が期待している連絡や、有益な情報提供を行う際に適しており、特に丁寧な印象を与えたいときに使用されます。

例えば、見積書の完成や商品の到着など、相手が待ち望んでいる情報を伝える場合に最適です。

ただし、自分の都合のみを優先した連絡や相手が望んでいない情報を伝える際は、上から目線に感じられる可能性があるため避けるべきです。

お知らせいたします

「お知らせいたします」は、ビジネス文書やメールで頻繁に使用される丁寧な表現です。

「知らせる」という動詞に、敬語の接頭語「お」と謙譲語「いたす」を組み合わせた表現で、相手への敬意を示しつつ、情報を伝達する際に適切な言い回しです。

特に、新しい情報や重要な連絡事項を伝える際に効果的で、フォーマルな場面で違和感なく使用できます。

例えば、「新プロジェクトの開始日についてお知らせいたします」のように、具体的な内容と共に使用しましょう。

ご連絡申し上げます

「ご連絡申し上げます」は、「言う」の謙譲語「申す」に「ます」を付けた丁寧な敬語表現で、特に目上の人やお客様に対して使用すると、より上品で格調高い印象を与えることができます。

例えば、「ご連絡申し上げるのが遅くなり、大変失礼いたしました」のように、重要な報告や謝罪の際に効果的です。

この表現は、クライアントや上司など、目上の相手に対してお礼や謝罪をする場面で頻繁に使われます。

ただし、「ご」をつけると二重敬語になる可能性があるため、適切な文脈での使用が求められます。シンプルに「連絡申し上げます」と使うのがポイントとなります。

ご報告いたします

「ご報告いたします」は、特に目上の相手や重要な場面で使用される丁寧な敬語表現で、プロジェクトの進捗や具体的な結果を伝える際に最適な言い回しとして知られています。

例えば、「〇〇プロジェクトの最終結果につきまして、ご報告いたします」のように、具体的な内容と共に使用することで、より正確で丁寧な印象を与えることができます。

この表現は、「報告」に謙譲語の「いたします」を組み合わせた形で、ビジネスシーンや公式な場面で広く認められている敬語表現です。

「ご連絡いたします」を用いたシーン別の例文

「ご連絡いたします」は、さまざまなビジネスシーンで使われる表現です。

ここでは、具体的なシチュエーション別に例文を挙げて、その使い方を詳しく解説します。

約束や予定を伝える場合

• 「お申し込み内容を確認次第、こちらからご連絡いたします。」
• 「会議の日程が決まり次第、改めてご連絡いたします。」
• 「商品の発送手続きが完了次第、ご連絡いたしますので、今しばらくお待ちください。」

問い合わせへの対応

• 「お問い合わせいただいた件について、調査を進めております。結果が判明次第、ご連絡いたします。」
• 「料金プランの詳細につきまして、資料をご用意のうえ、ご連絡いたします。」
• 「ご希望いただいた資料を整え次第、早急にご連絡いたします。」

トラブル対応や謝罪の場面

• 「このたびのトラブルにつきまして、解決次第すぐにご連絡いたします。」
• 「原因を調査中ですので、進捗があり次第、改めてご連絡いたします。」
• 「ご迷惑をおかけしておりますが、状況が分かり次第、迅速にご連絡いたします。」

商談や契約の場面

• 「お見積もり内容が確定次第、担当者からご連絡いたします。」
• 「次回の商談の日程調整について、改めてご連絡いたします。」
• 「契約書の準備が整いましたら、こちらからご連絡いたします。」

「ご連絡」を使用する際の注意すべきポイント

「ご連絡」を使用する際には、相手や状況に応じた表現の使い分けが重要です。

ここでは、誤解を避けるための注意点や具体的なポイントを解説します。

｢ご連絡させていただきます｣は厳密には誤用

「ご連絡させていただきます」は、多くの人が使用する表現ですが、厳密には正確な敬語ではありません。

この表現は、「させていただく」が本来、相手の明確な許可と自分が恩恵を受ける状況でのみ使用できる言葉であるためです。

具体的には、相手から「連絡してください」と依頼された場合など、事前に了承を得ている状況でのみ適切となります。

それ以外の通常の連絡シーンでは、「ご連絡いたします」や「ご連絡申し上げます」といった表現が推奨されます。

二重敬語に気をつける

「ご連絡いたします」を使用する際は、二重敬語に注意が必要です。「ご連絡いたします」は、「ご」と「いたす」の両方が謙譲語となるため、厳密には二重敬語となります。

例えば、「ご連絡いたします」ではなく、「連絡いたします」や「ご連絡します」のように、片方の謙譲語のみを使用することが望ましいでしょう。

二重敬語は相手に違和感や不快感を与える可能性があるため、できる限り避けることが賢明です。

誤用表現に気をつける

「ご連絡させていただきます」は、典型的な誤用表現です。この表現は二重敬語であり、本来「させていただく」は相手の許可を得て行動する際に使用する言葉です。

連絡は基本的に許可を必要としないため、この表現は不適切となります。正しい表現は「ご連絡いたします」や「ご連絡申し上げます」です。

例えば、「本日の件について、ご連絡させていただきます」ではなく、「本日の件について、ご連絡いたします」と言うべきでしょう。

「いたす」と「致す」の使い分け

「いたす」と「致す」は、一見同じように見えますが、実際には重要な違いがあります。

ひらがなの「いたす」は補助動詞として使用し、主に敬意を表現する際に使います。例えば、「ご連絡いたします」のように、動詞に付加して丁寧さを強調する場合に適しています。

一方、漢字の「致す」は本動詞として使用し、「届ける」「全力を尽くす」といった具体的な意味を持ちます。

ビジネスシーンでは、「私が致します」のように、自分の行動を表現する際に使用します。

ビジネス文書やメールでは基本的に「いたす」をひらがなで使用することがおすすめです。

「ご連絡いたします」を英語で表現すると

「ご連絡いたします」を英語で表現する際には、フォーマルなニュアンスを保つことが大切です。ここでは、適切な英語表現とその使い方を詳しく解説します。

丁寧な場面で適用する際

「I will contact you」や「I will get in touch with you」は、フォーマルなビジネスメールや公式なコミュニケーションにおいて最適な英語表現です。

特に重要な商談や契約に関する連絡、初対面の相手とのコミュニケーション、上司や重要なクライアントとのやり取りでは、これらの表現が適切です。

例えば：

• "I will contact you regarding the proposal details soon"
  具体的な内容を添えることで、丁寧さと誠実さをより明確に伝えられます。

また、"I will be in touch with you shortly" という表現も、フォーマルな場面で礼儀正しく使用できる定型文として広く認識されています。

気軽な場面で適用する際

カジュアルな状況では、「I'll reach out to you」や「I'll get back to you」といったよりくだけた表現が適しています。

友人や同僚との日常的なコミュニケーション、メッセージやSNSでのやり取りでは、これらの表現を使うことで自然なニュアンスを出せます。

例えば：

• "I'll get back to you later"
• "I'll reach out soon"

これらのフレーズは、気軽で親しみやすい雰囲気を醸し出す表現として効果的です。特にメッセージやメールの締めに使うと、相手との距離感を縮める効果があります。

ご連絡いたしますまとめ

「ご連絡いたします」は、ビジネスシーンで非常に頻繁に使用される敬語表現の一つですが、使い方を誤ると意図せず相手に誤解や不快感を与えることがあります。

この記事では、「ご連絡いたします」の正しい使い方や注意点をわかりやすく解説しました。

また、シチュエーションに応じた適切な言い換え表現もご紹介し、実際のビジネスコミュニケーションに役立つヒントをまとめています。

ぜひこの記事を参考に、日々のビジネスメールや電話対応で実践し、より円滑なやり取りを目指してみてください！