ビジネスシーンでよく耳にする「ご承諾」という言葉ですが、正確な意味や適切な使い方に自信が持てない方も多いのではないでしょうか。
言葉の意味を誤解したり、不適切に使うことで、相手に誤解を与えたり、失礼な印象を与えてしまうことがあります。
この記事では、「ご承諾」の正しい意味や使い方、類似表現との違いを分かりやすく解説します。
この記事を読むことで、「ご承諾」の適切な使い方を身につけ、ビジネスシーンで自信を持って使えるようになります。
「ご承諾」の読み方・意味は?
「ご承諾」の読み方は「ごしょうだく」です。
その意味は、「相手の申し出や意見、要望などを聞き入れて、積極的に受け入れる」ことを指します。
「承諾」という言葉の漢字を分解すると、「承」は相手の意向を受け継ぐこと、「諾」は引き受けるという意味があります。
つまり、やむを得ず受け入れるのではなく、前向きに同意する際に使われる丁寧な表現なのです。
「ご承諾」を使ったビジネスにおけるフレーズ・例文
「ご承諾」は、相手の許可や同意を丁寧に表現する際に使われます。
ここでは、ビジネスシーンで活用できる具体的なフレーズや例文を詳しく解説します。
ご承諾いただきありがとうございます
感謝を伝える場面で使用します。
- 「このたびは、快くご承諾いただき、心より感謝申し上げます。」
- 「ご承諾いただきましたこと、誠にありがとうございます。」
ご承諾いただけますでしょうか
丁寧に承諾を求める表現で、控えめな印象を与えます。
- 「この条件でご承諾いただけますでしょうか。」
- 「新たな計画案について、ご承諾いただけますでしょうか。」
ご承諾いただきたく
承諾を依頼する場面で使います。次に続く言葉で丁寧さを調整できます。
- 「新しいスケジュールにつきまして、ご承諾いただきたく存じます。」
- 「変更後の内容で進行することを、ご承諾いただきたくお願い申し上げます。」
ご承諾いただきました
相手の承諾を得たことを伝える際に使用します。
- 「貴社よりご承諾いただきました件について、速やかに準備を進めてまいります。」
- 「ご承諾いただきました内容をもとに、詳細を調整いたします。」
ご承諾いただけますと幸いです
控えめな依頼表現で、柔らかい印象を与えます。
- 「本案をご承諾いただけますと幸いです。」
- 「条件変更をご承諾いただけますと、大変ありがたく存じます。」
ご承諾いただけますようお願い申しあげます
フォーマルな依頼表現で、重要な場面や丁寧さが求められる場合に適しています。
- 「新規契約条件につきまして、ご承諾いただけますようお願い申し上げます。」
- 「本計画の変更点について、ご承諾いただけますよう重ねてお願い申し上げます。」
ご承諾の程、何卒お願い申し上げます
非常に丁寧な依頼表現。正式な文書や重要な依頼で使用されます。
- 「こちらの提案内容につきまして、ご承諾の程、何卒お願い申し上げます。」
- 「計画変更について、ご承諾の程、よろしくお願い申し上げます。」
「ご承諾させていただきます」はNG
「ご承諾させていただきます」という表現は、一見丁寧に思えますが、正しい敬語としては不適切です。
理由は、「承諾」という言葉自体に謙譲の意味が含まれているため、さらに「させていただきます」を重ねると二重敬語となってしまうからです。
例えば、相手の提案を受け入れる場合には、以下のような表現が適切です。
- 「承諾いたしました」
- 「ご承諾いただき、ありがとうございます」
一方で、自分側の意志を伝える際には「承諾いたします」や「お受けいたします」といったシンプルな表現を心がけましょう。
丁寧さを意識しすぎるあまり、不自然な敬語表現を使わないよう注意することが大切です。
「ご承諾」の同義語・言い換え表現とその違い
「ご承諾」は、類義語や言い換え表現を使い分けることで、より適切で柔軟な表現が可能になります。ここでは、それぞれの違いと使い方を詳しく解説します。
ご快諾
「ご快諾」は、「承諾」に「快く」というポジティブなニュアンスが加わった表現で、相手の依頼や提案に対して、気持ちよく喜んで受け入れることを意味します。
「快」という漢字には「気持ちがいい」「喜ぶ」という意味があり、さらに前向きで積極的な印象を与えます。
主に、相手との関係性が良好で、心から歓迎できる提案や依頼に対して使われます。例えば、親しい関係の中で、相手の申し出を喜んで引き受ける際に「ご快諾」を使用します。
ただし、注意点として、「ご快諾ください」という表現は使わず、承諾後に感謝の意を表す「ご快諾いただきありがとうございます」のような形で使用するのが適切です。
ご了承
「ご了承」は、相手に事情や状況を理解して受け入れてほしい場合に使う表現です。
「了承」には「納得・承知・承諾」という意味があり、主に目上の人に対して、何かを理解してもらいたい、許可を求めたい場合に使います。
例えば、計画変更や遅延などの不都合な事実を伝える際に、「ご了承ください」と使うことで、相手に状況を理解してもらうことを丁寧にお願いします。
「承諾」と比べると、「了承」は相手の要求や事情を理解し、受け入れるというニュアンスが強い表現となります。
ご承認
「ご承認」は、主に公的な内容や正式な場面で使われる表現で、「承認」には、「正当であると認める」「事実として認める」という意味があります。
特に、組織内での決定や公的な機関での判断を示す際によく使用され、例えば、「国会の承認を得る」「新しい提案を承認する」といった場面で用いられます。
「ご承認」は、承認する側を敬う接頭語「ご」がついた丁寧な表現で、ビジネスシーンや公式な文書でよく見られます。
上司や取引先など、目上の人に対して使用する際は、「ご承認いただきありがとうございます」のように、感謝の気持ちを込めて使うことが大切です。
「ご承諾」を英語で言うと
「ご承諾」の英語表現は主に "Consent" や "Approval" が適しています。
具体的な英訳例としては、以下のような表現が使えます:
- "Thank you for your approval"
- "We need your consent to proceed"
- "I consent to the proposal"
特にビジネスシーンでは、"Consent"が最も一般的で、利害関係者との合意や同意を示す際に用いられます。
例えば、「プロジェクト遂行には営業部長の承認が不可欠です」は英語で "We'll need consent from the sales director to proceed with this project" と表現できます。
ご承諾まとめ
「ご承諾」という言葉は、相手への敬意や理解を示す大切な表現です。ビジネスの場では、この言葉を正しく使い分けることで、相手に信頼感を与えることができます。
たとえば、「ご承諾」は提案や依頼を受け入れる際に丁寧に使う言葉で、「ご了承」や「ご承認」とは意味や使う場面が異なります。
これらの違いをしっかり理解して適切に使い分けることで、スムーズなやり取りができるようになります。
日々の仕事の中で、このような表現を意識的に使ってみてください。言葉遣いが洗練されることで、相手との信頼関係が深まり、コミュニケーションもより円滑になるはずです。