ビジネスや日常のやり取りでは、何かをお断りしなければならない場面が意外と多いものです。
しかし、単に「お断りします」と伝えると、相手に冷たい印象を与えてしまうこともあります。
そこで、本記事では、相手に配慮しつつ丁寧に断る表現や、ビジネスシーンで使える言い換えフレーズをご紹介します。
適切な言葉遣いを身につけ、スムーズで円滑なコミュニケーションを目指しましょう!
丁寧な「お断り」の表現
ビジネスシーンでは、何かをお断りする際に、直接的な表現を避けてやわらかく伝えることが重要です。以下では、丁寧な「お断り」の表現と、その使い方をご紹介します。
ご遠慮させていただきます
最も一般的で汎用性の高い断りの表現です。自分の意思で控えめに辞退する際に使用し、相手への配慮を示しながら、やわらかい印象を与えることができます。
- 今夜は家庭の事情があり、ご遠慮させていただきます。
- 申し訳ありませんが、今回のプロジェクトには参加をご遠慮させていただきます。
- アレルギーの関係で、その料理はご遠慮させていただきます。
ご辞退申し上げます
最も格式が高く、フォーマルな場面で使用する表現です。特に目上の人や公式な場面での断りに適しており、結婚式や正式な招待、仕事の辞退などの場面でよく使われます。
- せっかくですが、ご辞退申し上げます。
- 今回のお申し出については、慎重に検討いたしましたが、ご辞退申し上げます。
- ありがたいお誘いですが、諸事情によりご辞退申し上げます。
お受けいたしかねます
ビジネスシーンでよく使用される表現で、提案や依頼を断る際の定型句として適切です。ただし、やや冷たい印象を与える可能性があるため、理由を添えることが望ましいです。
- 申し訳ございませんが、現在の体制ではお受けいたしかねます。
- 貴社からのご提案については慎重に検討いたしましたが、お受けいたしかねます。
- ご依頼の件につきましては、当社の方針上お受けいたしかねますので、ご了承ください。
いたしかねます
「お受けいたしかねます」よりも簡潔な表現で、明確に断る必要がある場合に使用します。特に断る理由が明確な場合に適しています。
- 申し訳ございませんが、対応いたしかねます。
- ご希望の納期では納品がいたしかねます。
- ご要望の件につきましては、弊社では対応いたしかねますので、ご理解のほどお願いいたします。
お力になれず申し訳ございません
相手の期待に応えられないことへの申し訳なさを強調する表現です。単なる断りではなく、相手への思いやりと謝意を示したい場合に使用します。
- ご要望の商品を取り寄せられず、お力になれず申し訳ございません。
- せっかくご相談いただきましたが、私どもでは対応できず、お力になれず申し訳ございません。
- 期待に沿えず、お力になれず申し訳ございませんが、何かお手伝いできることがありましたらお知らせください。
「お断り」を入れる際のポイント
「お断り」を伝える際は、相手に不快感を与えないよう配慮が必要です。以下では、いくつかのポイントをお伝えいたします。
クッション言葉を使う
いきなり「お断りします」と伝えると、冷たい印象を与えてしまいます。
そのため、「申し訳ございませんが」「あいにくですが」「せっかくのお話ですが」 などのクッション言葉を添えることで、柔らかく伝えられます。
- 申し訳ございませんが、ご要望には対応いたしかねます。
- せっかくのお申し出ですが、今回はご辞退申し上げます。
感謝の気持ちを示す
断る前に、まずは相手の提案や申し出に対する感謝を伝えると、丁寧な印象になります。
「ありがたいお話ですが」「貴重なお時間をいただき」 などの言葉を添えることで、誠意が伝わります。
- 貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございます。そのうえで恐縮ですが、今回は辞退させていただきます。
- ありがたいご提案ですが、弊社の方針上、実施が難しい状況です。
明確な意思表示をする
お断りの際は、相手に誤解を与えないよう、明確な意思表示をすることが重要です。
曖昧な表現を避け、断る意思をはっきりと伝えることで、相手も状況を正確に理解できます。
ただし、直接的な「できません」という言葉は避け、「いたしかねます」「ご辞退申し上げます」といった丁寧な表現を用いることで、相手への配慮も示せます。
- 申し訳ございませんが、ご期待には沿いかねます。
- 検討いたしましたが、ご要望には対応いたしかねます。
理由を説明する
理由を伝えることで、相手も納得しやすくなります。ただし、長々と説明するとかえって印象が悪くなることもあるので、簡潔に伝えるのがポイントです。
- 社内で慎重に検討しましたが、今回は見送らせていただくこととなりました。
- 予算の都合上、ご希望には添えかねます。
- スケジュールの都合により、ご依頼には対応いたしかねます。
今後の関係性への配慮
お断りした後も、相手との関係を大切にするために、今後につながる言葉を添えるとよいでしょう。
「またの機会に」「今後ともよろしくお願いいたします」 など、前向きな表現を使うことで、次のビジネスチャンスにつながることもあります。
- またの機会がございましたら、ぜひお声がけいただければ幸いです。
- 今後とも変わらぬお付き合いを賜りますよう、お願い申し上げます。
- 別の形でご協力できる機会がございましたら、ぜひご相談ください。
お断りメールの基本的な構成
以下では、お断りメールの基本的な構成と、それぞれのポイントを詳しく解説します。
件名
件名は、メールの内容が一目で分かるように簡潔にまとめることが重要です。長すぎると相手に読まれにくくなるため、20〜30文字程度を目安にするとよいでしょう。
また、件名に「お断り」や「辞退」といった直接的な表現を使うと冷たい印象を与えることがあるため、やわらかい表現を選ぶのがポイントです。
例えば、「○○の件についてのお返事」「お打ち合わせの件についてのご相談」「○○のご提案につきまして」など、少し婉曲的な表現にすることで、受け取る側の印象を和らげることができます。
宛名
メールの冒頭には、相手の名前を正式な形で記載します。
社外の取引先に送る場合は、「株式会社○○ 〇〇部 〇〇様」と会社名や部署名を添えるのが一般的です。社内の上司や同僚に送る場合は、「〇〇課長」「〇〇さん」と適切な敬称をつけます。
また、宛名の表記にはビジネスマナーがあり、「〇〇様へ」ではなく「〇〇様」と書くのが正しい形です。
相手が複数人いる場合は、「〇〇部の皆様」「関係者の皆様」などとまとめることもできます。
挨拶
メールの最初には、ビジネスメールの定型的な挨拶を入れることで、丁寧な印象を与えます。
例えば、「いつもお世話になっております」は、社内外問わず一般的に使える便利なフレーズです。
よりフォーマルな場面では、「平素より格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます」といった表現も適しています。
相手が初めての方や、突然メールを送る場合は、「突然のご連絡失礼いたします」と前置きをすることで、より礼儀正しい印象を与えられます。
提案や誘いへの感謝
お断りをする前に、相手の提案やお誘いに対する感謝の気持ちを伝えることが大切です。これにより、相手への配慮が感じられ、断る際の印象が和らぎます。
例えば、「このたびは、貴重なお話をいただき誠にありがとうございます」や、「お忙しい中、お声がけいただきましたこと、心より感謝申し上げます」などのフレーズを添えると、相手も気分を害しにくくなります。
また、招待の辞退の場合は、「お誘いいただき、大変光栄に存じます」と述べることで、相手の厚意を尊重する気持ちが伝わります。
お断りの理由
お断りの際には、相手が納得しやすいように、簡潔かつ分かりやすい理由を述べることが大切です。
ただし、理由を詳しく説明しすぎると、かえって言い訳がましく聞こえることもあるため、簡潔に伝えることを意識しましょう。
例えば、「スケジュールの都合上、今回は見送らせていただきます」や、「社内で慎重に検討しましたが、弊社の方針と合わず、今回はご期待に沿えない結果となりました」といった表現が適しています。
また、「現在、弊社のリソースが限られているため、十分な対応が難しく、ご要望にはお応えできかねます」といったように、業務の都合で対応が難しい場合にも適切な理由を伝えることが大切です。
代替案や気遣いの言葉
お断りのメールを送る際には、相手との関係を維持するために、代替案や気遣いの言葉を添えることが望ましいです。
特に、取引先やビジネスパートナーとの関係を良好に保つためには、「次回につながる表現」を入れると印象が良くなります。
例えば、「また機会がございましたら、ぜひお声がけいただければ幸いです」や、「今後、状況が変わりましたら、改めてご相談させていただきます」と伝えることで、将来的な関係性を維持しやすくなります。
また、「引き続き、別の形でご協力できることがございましたら、ぜひご連絡ください」と述べることで、相手に対する誠意を示すことができます。
結びの挨拶
メールの最後には、改めて感謝やお詫びの言葉を述べ、丁寧に締めくくることが大切です。
例えば、「ご理解のほど、何卒よろしくお願い申し上げます」といったフレーズは、フォーマルな場面で適しています。
また、「ご期待に沿えず申し訳ございませんが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます」と述べることで、謝意を示しつつ、断りの内容を受け入れてもらいやすくなります。
相手との関係を継続したい場合は、「今後ともどうぞよろしくお願いいたします」と結ぶことで、良好な関係を築きやすくなります。
署名
最後に、送り主の情報を明記します。ビジネスメールでは、会社名や部署名を含めることで、相手が誰からのメールなのかすぐに分かるようにしましょう。例えば、
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株式会社○○ ○○部
氏名: ○○ ○○
電話: 03-XXXX-XXXX
メール: example@company.com
―――――――――――――――
と記載することで、相手が必要に応じてすぐに連絡を取ることができます。特に、初めての相手には、できるだけ詳細な署名を入れると親切です。
シーン別お断りメールの例文
以下では、「お断り」を入れる際のビジネスメール例文をシーン別にご紹介します。
「お断り」メールを書く際には、ぜひ参考にしてみてください。
提案や見積もりを断る例文
件名: ○○のご提案についてのお返事
○○株式会社
○○部 ○○様
いつもお世話になっております。このたびは、弊社へのご提案をいただき、誠にありがとうございました。
慎重に検討いたしましたが、弊社の方針や現在の状況を踏まえ、今回は見送らせていただくこととなりました。
せっかくの貴重なご提案にもかかわらず、ご期待に沿えず申し訳ございません。またの機会がございましたら、ぜひご相談させていただければと存じます。
引き続き、何卒よろしくお願い申し上げます。
採用を断る例文
件名: 採用選考結果のご連絡
○○様
このたびは、弊社の採用選考にご応募いただき、誠にありがとうございました。
慎重に選考を進めさせていただきましたが、総合的に検討した結果、誠に残念ながら今回はご希望に沿えない結果となりました。
貴殿のこれまでのご経験やスキルは大変素晴らしいものでしたが、弊社の募集要件や事業の現状を踏まえ、他の候補者を採用する運びとなりました。
何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
末筆ながら、貴殿の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
先輩からの誘いを断る例文
件名: お誘いありがとうございます
○○先輩
お疲れさまです。お誘いいただき、ありがとうございます。
せっかくのお誘いなのですが、あいにくその日は先約があり、参加が難しい状況です。ぜひご一緒したかったのですが、今回は残念ながら見送らせていただきます。
また機会がありましたら、ぜひお声がけいただけると嬉しいです!
どうぞよろしくお願いいたします。
「お断り言い換え」まとめ
「お断り」を伝える際は、言葉の選び方や伝え方によって、相手に与える印象が大きく変わります。
クッション言葉を添えたり、感謝の気持ちを伝えたりすることで、相手への配慮が伝わり、スムーズなやり取りが可能になります。
また、今後の関係性を大切にする表現を意識すれば、ビジネスシーンでも円滑なコミュニケーションを築くことができるはずです。
本記事でご紹介した言い換え表現を活用し、相手に失礼のない丁寧な断り方を身につけましょう。