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「訓戒/訓戒処分」とは、職場や学校などで不適切な行動に対して与えられる処分の一つです。

軽度の懲戒処分として位置付けられ、注意や警告の意味合いがありますが、処分内容やその後の影響については理解しておくことが重要です。

本記事では、「訓戒処分」の意味や懲戒処分の種類、流れ、判断基準について詳しく解説していきます。

「訓戒」とは?

まず初めに、「訓戒」の意味や具体的な使用場面について説明します。

「訓戒」には2つの意味がある

一般的な意味

訓戒とは、物事の善悪や是非を教え諭し、戒めることを指します。「訓」には教え諭すという意味があり、「戒」には前もって注意を促すという意味があります。

そのため、訓戒は単なる叱責ではなく、相手に気づきを与え、より良い行動を促すためのものとされています。

日常生活では、親が子どもに対して行うしつけや、教師が生徒に対してルールを守るよう指導する際に用いられます。

これは罰を与えるというよりも、反省を促し、今後の行動を改善させるための指導的な意味合いが強いものです。

懲戒処分としての意味

訓戒は、企業や学校などの組織における懲戒処分の一種としても使用されます。この場合、懲戒処分の中で最も軽い処分として位置づけられています。

具体的には、違反行為を行った者に対して口頭または文書で注意を与え、今後の改善を求めるものです。

例えば、企業の就業規則に違反した従業員に対し、正式な懲戒処分として「訓戒処分」が下されることがあります。

懲戒処分としての訓戒は、解雇や停職などの重い処分とは異なり、処罰というよりも「注意喚起」の意味合いが強いものです。

「訓戒処分」が適用される事例

「訓戒処分」が適用される具体的な事例を以下にまとめました。

  • 遅刻・早退
  • 業務中の職場離脱
  • 業務命令違反
  • 軽微な職場規律違反
  • 業務中の居眠り
  • 業務中の私的な行動

「訓告」「譴責」との違い

「訓戒」「訓告」「譴責」は、企業によって異なる名称が用いられるものの、処分内容に実質的な違いはありません。

これらはいずれも懲戒処分の中で最も軽いものとして位置づけられ、主に口頭や文書による注意喚起を目的としています。

また、これらの処分は企業の就業規則によって具体的な内容が定められており、どのような行為が対象となるのか、処分の手続きや記録の扱いについては企業ごとに異なる場合があります。

しかし、基本的には社員に対し違反行為を戒め、再発を防ぐことを目的とした指導的な意味合いが強い処分であり、停職や減給、解雇といった重い処分とは異なります。

「訓戒」の使用場面と例文

以下で、「訓戒」を使った例文を場面ごとにご紹介します。

「物事の是非を教え諭す」という意味での使用

  • 先輩が後輩の失敗に対して訓戒を垂れることは、成長の機会となる。
  • 愛情が込められた訓戒であれば、厳しくとも心に残るものだ。
  • 彼は年下の同僚に対し、まるで教師のように訓戒を繰り返した。

懲戒処分としての使用

  • 電車で居眠りをして重要書類を紛失し、訓戒処分を受けた。
  • たび重なる遅刻で訓戒処分を受けたが、口頭での厳重注意で済み安堵した。
  • 会社の規則に違反した社員は、文書による訓戒処分を受けることとなった。

「訓戒」を含む懲戒処分の種類

以下に、「訓戒」を含む懲戒処分の種類と特徴についてまとめました。

処分の種類

内容

経済的影響

戒告

文書または口頭での注意・指導

なし

訓戒

始末書の提出を伴う注意

なし

減給

給与から一定額を差し引く

1回につき半日分の給与が上限

出勤停止

一定期間の就労禁止

出勤停止期間分の給与なし

降格

役職や資格の引き下げ

役職給の減額

諭旨解雇

退職勧告(応じない場合は懲戒解雇)

退職金は通常通り支給

懲戒解雇

一方的な解雇

退職金不支給が一般的

「訓戒」などの懲戒処分の程度の決め方

懲戒処分の程度を決定する際は、以下の要素が考慮されます:

  • 違反行為の常習性
  • 過去の処分歴
  • 違反内容の重大性
  • 金銭が関係する場合はその額

また、処分の決定には、以下のような対応が取られています:

  • 懲戒委員会での検討
  • 過去の類似事例との比較
  • 必要に応じて専門家の意見を聴取

「訓戒」を含む懲戒処分の流れ

「訓戒」等の懲戒処分が、どのような流れで進められるのかご存知でしょうか。

以下では、「訓戒」を含む懲戒処分の流れについて詳しく解説します。

1.事実関係を調査する

対象者の非違行為について、客観的な証拠や関係者からの聞き取りを通じて事実確認を行います。

この際、証拠書類の収集や目撃者からの証言など、できるだけ具体的な情報を集めることが求められます。調査内容は記録として残し、後日参照できるようにします。

2.就業規則を確認する

該当する行為が就業規則のどの条項に違反するのか、また、どの程度の処分が適切かを検討します。
懲戒処分の種類や程度について、就業規則に明確な規定があることを確認します。過去の類似事例との均衡も考慮に入れます。

3.弁明の機会を与える

対象者に事前に処分内容を告知し、弁明の機会を与えることが必要です。

この際、対象者が十分に弁明を行えるよう、適切な時間と場所を設定します。弁明内容は必ず記録として残します。

4.処分内容を決定する

収集した証拠や弁明内容を総合的に判断し、処分内容を決定します。

処分の種類や程度が、行為の態様や結果に照らして相当であることを確認します。社内の決裁手続きを経て、正式に処分を決定します。

5.処分を書面で交付する

決定した処分内容を書面にして、対象者に交付します。

書面には処分の種類、理由、発効日などを明確に記載します。書面の受領確認を取り、会社側でも控えを保管します。

「訓戒」の類語・言い換え

以下では、「訓戒」の類語や言い換え表現をご紹介します。

状況や文脈に応じて適切な言葉を使い分けることで、より豊かな表現力を身につけましょう。

「忠告」

忠告とは、相手のためを思い、誤った行動や悪い習慣を改めるように促すことです。

強制ではなく、助言として伝えられることが多く、親しい関係の中で用いられることが一般的です。

  • 「もっと早く寝たほうがいいよ」と友人に忠告した。
  • 先輩は無理な働き方をしている後輩に、健康を考えるよう忠告した。

「戒告」

戒告とは、過失や非行を厳しく戒め、警告することを指します。

特に、公務員や企業の懲戒処分として用いられることがあり、正式な注意として記録される場合があります。

  • 度重なる遅刻で戒告処分を受けた。
  • 不正行為が発覚し、上司から厳しく戒告された。

「諭す・戒める」

諭すとは、道理をわかりやすく説明し、納得できるように話して聞かせることです。

戒めるは、誤った行動をしないよう注意し、慎むよう促すことを意味します。どちらも教育的な場面で使われることが多いです。

  • 子供に勉強の大切さを諭す。
  • 先輩は後輩に仕事の責任感について諭した。
  • 友人は私に浪費を戒めた。
  • 先生は生徒に、ルールを守る大切さを戒めた。

「訓戒」の対義語

以下では、「訓戒」の対義語をご紹介します。

「甘言(かんげん)」

甘言とは、相手を引き寄せたり、操ったりするために使われる優しく甘い言葉のことです。

お世辞や巧みな話術で相手の気を引くことが目的であり、時には相手を騙す手段として使われることもあります。

  • 彼は甘言を使って部下を誘惑した。
  • 詐欺師は甘言を並べて人々を信用させた。

「赦す(ゆるす)」

赦すとは、他人の過ちや罪を寛大な心で許し、責めないことを指します。特に、道徳的・宗教的な文脈で使われることが多く、深い慈悲や寛容の精神を表す言葉です。

  • 彼はすべての過ちを赦して、再び信頼を築くことに決めた。
  • 彼女は友人の裏切りを赦し、関係を修復しようとした。

「訓戒」の英語表現

最後に、「訓戒」の英語表現を見ていきましょう。

Admonition(訓戒、忠告)

"Admonition" は、最も一般的に「訓戒」を表す英語表現です。

これは、相手の行動を戒めるために行われる厳しめの忠告や指導を指し、特に道徳的・倫理的な観点からの注意を含む場合に使われます。

  1. The teacher gave an admonition to the student for speaking out of turn.
    (先生は発言の順番を守らなかった生徒に訓戒を与えた。)
  2. His admonition about honesty had a strong impact on the young employees.
    (彼の正直さに関する訓戒は、若い社員に強い影響を与えた。)

Warning(警告)

"Warning" は「警告」に近い意味を持ち、行動を改めなければ何らかの処罰や悪影響が及ぶ可能性があることを伝える表現です。

日常的な場面でも使われるほか、企業や組織での懲戒処分の文脈でも用いられます。

  1. My boss gave me a warning for being late too often.
    (上司から遅刻が多すぎると警告を受けた。)
  2. The employee received a written warning for violating company rules.
    (その社員は会社の規則違反により、文書で警告を受けた。)

Exhortation(苦言、強い忠告)

"Exhortation" は、相手に対して強く助言や忠告を行い、望ましい行動を取るよう促すことを意味します。

道徳的・宗教的な指導の文脈で使われることが多く、一般的な忠告よりも強い意味を持ちます。

  • The manager’s exhortation to work harder motivated the team.
    (マネージャーの努力を求める強い忠告がチームを奮い立たせた。)
  • His exhortation to act responsibly resonated with the employees.
    (責任を持って行動するよう求めた彼の苦言は、社員に響いた。)

4. Received admonition(訓戒処分を受ける)

企業や公的な場面での懲戒処分としての「訓戒」を英語で表現する場合、"received admonition" という表現が使われます。

  • The employee received admonition for improper workplace behavior.
    (その社員は職場での不適切な行動により訓戒処分を受けた。)
  • After violating company policy, he received admonition from HR.
    (会社の方針に違反したため、彼は人事部から訓戒処分を受けた。)

「訓戒処分とは」まとめ

「訓戒処分」は、懲戒処分の一つとして、主に軽微な違反行為に対する注意や警告の意味を持ちます。

処分の流れや基準については、企業や学校ごとに異なりますが、処分の内容や影響を正しく理解しておくことは重要です。

また、訓戒処分を避けるためにも、規律を守り、社会的責任を意識した行動を心掛けることが大切です。