ここでは、「満を持して」と「万を期して」の違いについて、それぞれの意味や例文、類語と共に分かりやすく解説します。
「満を持して」とは
「満を持して」は、主に時間や機会を待った結果、最良のタイミングで行動を開始することを表現する日本語です。チャンスやタイミングをじっくりと待つという意味合いを持ち、何かを計画していて、その実行に適した最良の瞬間が来るまで我慢強く待ち続け、そのチャンスが訪れたときに行動を開始することを指す言葉です。
「万を期して」とは
「万を期して」とは、非常に重要な機会や瞬間、期待される大一番を指す日本語の表現で、大きな事象や挑戦が差し迫っている時に使われます。文字通りの意味は「万事が整って、期待通りの機会がきた」と言った意味になります。
例えば、「万を期して試験に臨む」や「万を期しての発表会」のように使用されます。「期す」は「待ち望む」や「願う」などの意味を含んでいて、何か大切なことを成功させるための最善の機会を迎えることを示しています。ですから、このフレーズは期待や重要性を強調する際によく用いられます。
「満を持して」と「万を期して」の違い
「満を持して」とは、全ての条件が整った時に行動に移すという意味です。準備万端に整えて、最適なタイミングを待ってから行動することを表します。
「万を期して」とは、全ての物事が集まった時、あるいは全ての条件がそろった時に何かを実行するという意味です。「期」は古代中国の戦術であり、数の最終段階を指すので、全てが整った状態を表しています。
「満を持して」と「万を期して」は表現が異なるだけで、世の中の全ての条件が揃い、準備が整った最適のタイミングで行動に移す、という意味においてはほとんど同じです。ただ、微妙な違いとしては、「満を持して」は結果に対する期待が少なからず含まれ、一方、「万を期して」は行動自体が目的となることが多いとも言えるでしょう。
「満を持して」の例文・使い方
満を持しての例文
- 長年の研究を経て、彼はついに満を持してその成果を公表した。
- 彼女は満を持して新曲をリリースした。
- 10年の修業を経て、彼は満を持して独立することを決意した。
満を持しての使い方や使用時の注意点
「満を持して」という表現は、何かをするのに適切な時期やタイミングをじっくりと待ち、その最適なタイミングで行動することを指す言葉です。具体的には、何かが完成したり、充分な準備が整ったり、適切な機会が訪れたりするタイミングを示します。この表現は、一般的にポジティブなニュアンスで使用されます。
ただし、「満を持して」は事前に十分な準備や配慮が必要な状況や大切な機会に対して使用する言葉である点に注意が必要です。小さな日常の出来事や、特に準備が不要な状況に対して使うと不適切な場合があります。また、「満を持して」が暗示するような、待った結果としての達成感や成功を伴わない状況では使わない方が適切です。
「万を期して」の例文・使い方
万を期しての例文
- "新商品の開発に万を期して、多くの人間ドラマが生まれた。"
- "会社の創業100周年を万を期して、全社員で盛大なパーティーを計画した。"
- "地域の発展を万を期して、新しいプロジェクトが始まった。"
万を期しての使い方と注意点
「万を期して」とは、何かが本当に重要かつ特別な状況を示す際に使われる言葉です。特に大きな節目や、長期間にわたって準備してきたことが結実する瞬間に用いられます。本来は、「万世一系」と言ったような永続性と重要性を示す「万」に「期する」という、つまり「全く特別な機会を迎える」という意味です。
ただし、日常的なことや些細なことに対して「万を期して」と言ってしまうと、語彙の妥当性が問われるかもしれません。また、「期する」ことそのものが大きな行事や出来事であるべきなので、具体的なアクションや結果が伴わない抽象的な表現と組み合わせるべきではありません。
「満を持して」「万を期して」の類語・言い換え
「満を持して」は、「万全の準備を整えて」や「最適のタイミングで」などの意味を持ちます。
類語・言い換え
- 万全を期して: 「満を持して」同様、全ての準備が整い、何も問題がない状態を意味します。
- 時を待つ: 適切なタイミングを見計らって行動するニュアンスがあります。
- 機を見て: 一度も失敗しないように、適切なタイミングを見計らうことを表します。
- 好機を待つ: 最適の瞬間、つまり「チャンス」を見計らうことを意味します。
- 良い機会を伺う: 最適な瞬間を計算して、行動を起こすことを表します。
「万を期して」は、一切の手を抜かず、全力で何かを成し遂げようとする意味があります。
類語・言い換え
- 全力を尽くして: 全力で行動を起こす、全てを使い果たすことを表します。
- すべてを賭けて: 全部を愚直に投じ、失敗しないように行動することを意味します。
- 力の限り: 私たちが持つ全ての力を出し切るという意味があります。
- 一生懸命に: 極力努力して何かを達成しようとすることを示します。
- 死力を尽くして: 死ぬまでやり続ける、命がけの努力をする意味があります。
以上が「満を持して」と「万を期して」の類語やそのニュアンスです。
「満を持して」と「万を期して」の違いまとめ
「満を持して」と「万を期して」は、いずれも目的を達成するための条件が整った時に行動を開始することを示す熟語ですが、具体的なニュアンスには違いがあります。「満を持して」は、何かを行う最適なタイミングが整うこと、つまり「焦らずに適切な時期を待つ」ことを示し、「万を期して」は「全ての条件が満たされて初めて行動をする」ことを指します。また、相手を完全に包囲してから攻める意味合いも持ち合わせています。