「あざとい」という言葉の本来の意味をご存じでしょうか?
最近では「計算高く可愛さを演出する」というニュアンスで使われることが多いですが、元々の意味とは異なります。
この記事では、「あざとい」の本来の意味と一般的な使われ方の違いを解説し、あざとい人の特徴についても紹介します。
正しい意味を知ることで言葉の誤用を防ぎ、より適切に使えるようになるはずです。
「あざとい」とは?
「あざとい」という言葉は、現代では「計算高く小悪魔的」という意味で使われることが多いです。
ここでは、「あざとい」の本来の意味や現在の使われ方を紹介します。
「あざとい」の本来の意味
「あざとい」の本来の意味は、「やり方があくどい」「ずうずうしく抜け目がない」という否定的なニュアンスを持つ言葉です。
漢字では「小聡明い」と表記され、「小」という字が付くことで「小賢しい」「小利口」といった軽蔑的な意味合いを含んでいます。
また「思慮が浅い」「あさはかである」という意味も持ち、江戸時代中期から使われ始めた言葉とされています。
語源については「浅い(あさ)」から来ているという説と、「戯る(あざる)」が変化したという説があります。
関西地方では「あどけない」「子供っぽい」という意味でも使用され、地域によって異なる意味を持つ言葉でもあります。
世間的に認知されている「あざとい」の意味
世間一般では「あざとい」は主に女性の振る舞いを表現する言葉として使われており、異性の気を引くために計算された可愛らしい仕草や、意図的な自己演出を指すことが多いです。
具体的には、上目遣いやボディタッチなど男性を意識した仕草をする女性や、周囲から注目を集めようと意図的に振る舞う人を「あざとい」と表現します。
近年では「あざとかわいい」という言葉に代表されるように、必ずしもネガティブな意味合いだけではなく、むしろ憧れの女性像として捉えられることも増えてきました。
計算づくとは分かっていても、どこか魅力的で可愛らしい印象を与える存在として認識されているのです。
世間的な「あざとい人」の特徴
「あざとい人」の特徴は一面的なものではなく、行動や心理、外見などさまざまな要素が関係しています。
世間的には「あざとい」と思われる人には、共通する特徴がいくつかあります。 ここでは、行動面・心理面・外見面の観点から、あざとい人の特徴を詳しく解説していきます。
行動面での特徴
まずは、行動面の特徴を紹介していきます。
計算高い
あざとい人の最も顕著な特徴は、その計算高さにあります。
困っている人に手を貸すなど一見優しい行動を取りながらも、実は好きな人からの評価を上げたいという損得勘定で動くことが多いのが特徴です。
表面上は協力的な態度を示しながら、実際には何も対処せず自分自身がピンチの時だけ周囲に助けを求めるといった傾向があります。
また、自分が有利な立場でいるために場の状況に合わせて臨機応変に行動し、相手が何を求めているのかを把握する能力に長けています。
こうした計算高い行動は、時として周囲から反感を買うこともあります。
愛想が良い
また、あざとい人の特徴として、誰に対しても愛想が良いことが挙げられます。
相手の発言に対して「すごーい!」「さすが!」など大げさなリアクションを取り、周囲から好感を得ようとする傾向があります。
特に男性の前では声のトーンを高くしたり笑顔を絶やさないようにするなど、意識的に愛想の良さを演出します。
ただしこれは、純粋な親切心からではなく、自分が相手に好かれることを目的とした計算高い振る舞いであることが多いとされています。
異性の前では態度が変わる
あざとい人の顕著な特徴は、異性の前で態度が劇的に変化することにもあります。
特に好意を持っている相手や恋愛対象となる人の前では、声のトーンが高くなったり話すスピードがゆっくりになったりと、意図的に愛らしさを演出します。
また、好きな相手に対しては媚びを売るような態度を取り、時には思わせぶりな行動で相手を手玉に取ろうとすることも。
興味深いのは、必ずしも恋愛対象でない相手に対しても、何か得られるものがありそうだと判断すれば同様の態度を取ることです。
好意のある相手がいなくなると、途端に素っ気ない態度や冷たい対応に変わってしまうことがあります。
表情豊かである
特に男性が話をしているときは、目を輝かせて熱心に聞く姿勢を見せます。
また、上目遣いや伏し目がち、首をかしげる、考えるときに顎に手を当てて斜めの方向を見るなど、計算された可愛らしい表情やしぐさを使い分けることも。
こうした表情の作り方は相手によって使い分けられます。
例えば、女性同士の時は大きな声でゲラゲラと笑っていても、男性の前では急に上品な笑い方に切り替えるなど、TPOに応じて表情を使い分けるのが上手いのです。
聞き上手である
あざとい人は、相手の話を熱心に聞く姿勢を見せ、大きなリアクションで応えることが特徴です。特に男性の話を聞くときは、意図的に大きなリアクションを取ることが多いでしょう。
また、困っている人の話にも親身に耳を傾けるような優しい自分を演出しますが、実際には好きな人からの評価を上げたいという計算が働いていることもあります。
このように、あざとい人の「聞き上手」な態度の裏には、相手に好印象を持ってもらいたいという思惑が隠れていることが多く、その計算高さが特徴となっています。
あえて弱みを見せる
あざとい人は、他者の同情や保護欲を巧みに引き出すことに長けています。
普段は頼りがいのある姿を見せながらも、絶妙なタイミングで弱音を吐いたり、困っているような素振りを見せたりします。
特に異性に対しては、「守ってあげたい」という母性本能や父性本能を刺激するような弱みの見せ方を心得ています。
たとえば、「実は私、こういうことが苦手で...」と打ち明けたり、「こんなこと言うの恥ずかしいんですけど...」と遠慮がちに相談を持ちかけたりするのです。
このように計算された弱みの見せ方によって周囲の人々の心を掴み、結果的に自分の望む方向へと相手を導いていきます。
心理的な特徴
次に、心理的な特徴を見ていきましょう。
寂しがり屋である
あざとい人には一見、積極的で社交的な印象を受けますが、その根底には強い寂しさを抱えていることが多いのが特徴です。
人との繋がりを求める気持ちが強く、恋愛感情とは関係なく自分に注目を集めようとあざとい言動をとることがあります。
特に男性に対しては「寂しい」というアピールを行い、相手の保護本能を刺激することで関心を引こうとします。
このように、あざとい人の行動の背景には誰かと一緒にいたい、人と繋がっていたいという深い欲求が隠されているのです。
承認欲求が強い
また、あざとい人は、周囲からの注目や承認を強く求める傾向があります。
特に「えらいね」「気が利くね」といった良い評価を得ることで満足感を得たいという欲求が強く、人気者になりたいという願望を持っています。
この承認欲求の強さから複数の人から好感を持たれたいと考え、時には思わせぶりな態度を取ることもあります。
自分が注目の的になることを好み、周囲からの視線が自分に向けられていないと満足できない性質があります。そのため、他の女性に対してライバル心を燃やすこともあります。
自己肯定感が高い
あざとい人は、自分の魅力や価値を十分に理解している傾向があります。
特に女性の場合、自分が「誰よりも素敵で可愛い」と思っているケースが多く、その自信が行動に表れます。
この強い自己肯定感があるからこそ、積極的に異性にアプローチすることができ、自分の魅力を最大限に引き出すことができるのです。
また、自分の見せ方や立ち振る舞いについても熟知しており、どのような行動が相手に好印象を与えるかを把握しています。
この自信があるからこそ、周囲から「あざとい」と言われるような振る舞いも、躊躇なく実行することができます。
外見面での特徴
つづいては、外見面の特徴を解説します。
女性らしさがある服装
あざとい女性は、男性ウケを意識した清楚系やフェミニン系の服装を好んで着用します。
白やピンクなどの淡い色合いのアイテムを選び、女性らしさを演出するのが特徴で、特に、白のブラウスやロングスカートなどの組み合わせは定番となっています。
また、露出は控えめながら、オフショルダーや透け感のある素材を取り入れることで、さりげない色気も演出します。
シンプルな装いの中にアクセサリーなどの小物使いでアクセントを加えるなど、計算された着こなしを心がけています。
あからさまな露出は避けつつも、女性らしさと清潔感を両立させた服装で、男性からの好感度を高めることを意識しているのです。
色気を感じさせる服装
また、露骨な露出は避けながらも、さりげなく色気を感じさせる服装を好んで着用します。
例えば、オフショルダーや透け感のある素材を使った服、体のラインを控えめに強調するタイトワンピース、大きめニットの袖から指先だけを見せる「もえ袖」などが特徴的です。
また、清楚系ファッションをベースにしながら、鎖骨や肩などをチラ見せする服装や、シンプルながらもアクセサリーで女性らしさを演出するコーディネートを心がけています。
全体的に「女性らしさ」や「可愛らしさ」を意識しつつ、ヘルシーな肌見せを取り入れることで、露出過多にならない程度の色気を演出するのが特徴です。
あざとい人になるためのポイント
「あざとい人」は、計算された言動で周囲の注目を集めたり、好感を得たりするのが上手です。では、どのようにすれば「あざとさ」を身につけられるのでしょうか?
ここでは、行動や心理面のポイントを押さえながら、あざとい人になるためのコツを紹介します。
相手の気持ちを常に考える
相手の気持ちを常に考えることは、あざとさを演出する上で重要なポイントです。
具体的には相手が何を求めているのか、どんな反応を期待しているのかを察知し、それに応える形で振る舞います。
例えば、困っている相手には優しい自分を演出したり、相手の評価を上げるような言動を選んだりするのです。
また、恋愛対象となる相手には媚びを売りつつ、周囲の人からの評価も意識することが大切です。
ただし、露骨な計算高さが見え透いてしまうと逆効果になるため、自然な形で相手の気持ちに寄り添うことを心がけましょう。
相手の服装の好みを知る
相手の服装の好みを知ることも、あざとい人のテクニックの一つです。
まず、相手のSNSをチェックして、普段どんな服装をしているのか、どんなファッションブランドが好きなのかを把握しましょう。
また、相手が着ている服のブランドや系統について、さりげなく会話の中で聞き出すのも効果的です。
特に、相手が異性の場合は、「この服装どう思う?」と何気なく意見を求めることで、好みのテイストを探ることができます。
相手の反応を見ながら、徐々に自分の服装を相手の好みに近づけていくことで、自然と好印象を与えることができるでしょう。
同性に対しても異性と同じように接する
同性に対しても異性と同じように接することもおすすめです。
あざとい人の中には異性の前でだけ態度を変える人がいますが、それは同性から嫌われやすい傾向があります。
本当の意味であざとい魅力を身につけるためには、性別に関係なく誰に対しても同じように接することが大切です。
このように一貫した態度を取ることでわざとらしさが減り、より自然な形で魅力を発揮することができます。
また、同性からも好感を持たれることで、結果として異性からの印象も良くなるという効果が期待できます。
「あざとい」の言い換え表現
ここでは、「あざとい」の言い換え表現を見ていきます。
策略的・計算高い
「あざとい」という言葉が、誰かの行動に対して計算的である、または立ち回りがうまいといった印象を与える場合、「策略的」「抜け目ない」「計算高い」といった表現が適しています。
- 彼はいつも策略的に立ち回って、周囲の人をうまく操ることができる。
- その企業の計算高いマーケティング戦略には驚かされる。
このような言葉は、相手の行動が計画的であり、何かを意図して行っていることが強調されます。
例えば、ビジネスの場面で、目的達成のために巧妙に立ち回る人物を指すときに使われます。
小悪魔的・ちゃっかり・甘え上手
「あざとい」という言葉が、可愛らしさや愛嬌を含んだ場合には、「小悪魔的」「ちゃっかり」「甘え上手」といった表現がより適切です。
- あの子は小悪魔的な笑顔で、みんなを虜にしている。
- 彼女はちゃっかり甘え上手で、いつも周りから優しくされている。
こうした言葉は、友達や恋愛関係において、少しわざとらしく魅力を振りまいている相手に使うことが多いです。
ずる賢い・要領がいい・押しが強い
「あざとい」という言葉がネガティブなニュアンスを持つ場合には、「ずる賢い」「要領がいい」「押しが強い」といった表現が適しています。
- 彼はずる賢く、いつも他人のアイデアを盗んでいる。
- 彼女は要領が良く、仕事をこなすのがとても早い。
- 彼は押しが強くて、いつも自分の意見を通そうとする。
こうした表現は、相手が他人を利用したり、自己中心的に行動したりする様子を強調します。
特に、人間関係や社会的な場面で、相手の行動が少し不誠実であると感じた場合に使われることが多いです。
「あざとい」の英語表現
「あざとい」の英語表現について、文脈ごとに使われる適切な英単語を以下のように紹介します。
1. Sly / Cunning / Devious
- Sly:ずる賢さや、狡猾で巧妙な印象を与える場合に使われます。相手が計画的に物事を進める様子を表現する際に適しています。
例:He is a sly person who always manages to get what he wants without anyone noticing.(彼はずる賢い人で、誰にも気づかれずにいつも自分の欲しいものを手に入れることができる。)
- Cunning:計算高く、賢いけれども少し裏のある方法で行動するニュアンスがあります。「計算高い」といった意味で使われます。
例:Her cunning strategies helped her rise to the top in the company.(彼女の計算高い戦略は、会社でトップに上り詰めるのを助けた)
- Devious:意図的に正直でない方法を使って物事を進める際に使います。少しネガティブな意味合いを含むことが多いです。
例:He took a devious approach to win the competition.(彼は競争に勝つためにずるい方法を取った。)
2. Cute yet Devious / Cute yet Cunning
- Cute yet Devious:最近流行している「あざと可愛い」を表現する場合、「cute yet devious」という表現が使われます。「かわいいけれども裏がある」といったニュアンスです。
例:She has this cute yet devious charm that makes everyone fall for her tricks.(彼女には、かわいらしくて、でもどこか裏がある魅力があり、誰もが彼女の策略に引っかかってしまう。)
- Cute yet Cunning:同様に、「あざと可愛い」を表現するために「cute yet cunning」という表現も使われます。少し賢さや計算高さを強調したい場合に適しています。
例:Her cute yet cunning personality makes her stand out in the crowd.(彼女のあざと可愛い性格は、彼女を群衆の中で際立たせている。)
3. Manipulative
- Manipulative:人を巧みに操作する様子を表現するために使われます。特に他人の感情や行動を意図的に操る場合に適しています。
例:He is manipulative and always tries to get people to do things his way.(彼は人を操るような性格で、いつも自分の思い通りに人を動かそうとする。)
4. Calculating
- Calculating:ビジネスシーンで使われることが多く、計算高く物事を進める様子を中立的に表現する場合に使われます。自分の利益を考え、行動するニュアンスがあります。
例:She is a calculating person who always considers the consequences before making a decision.(彼女は計算高い人で、決断を下す前にいつもその結果を考慮する。)
あざとい本来の意味まとめ
「あざとい」という言葉は、元々「抜け目がない」「貪欲」という意味を持っていましたが、現代では「計算高く可愛げのある行動」といったポジティブな使われ方も増えています。
この記事では、元々の意味と一般的な使われ方の違いや、「あざとい人」の特徴、さらには英語表現について解説しました。
「あざとさ」は、使い方によって魅力的に変えることができます。自分に合った「あざとさ」を意識して、うまく活用してみてくださいね!