「身につまされる」という表現を聞いたことはあっても、正しい意味や使い方を知らない方は多いのではないでしょうか。
日常会話や文章で使われることがありますが、誤った場面で使うと違和感を与えてしまうこともあります。
本記事では、「身につまされる」の正しい使い方や注意点をわかりやすく解説します。
また、状況に応じた言い換え表現も紹介するので、適切な言葉選びの参考にしてください!
「身につまされる」の意味
「身につまされる」は、他人の不幸や辛い出来事を自分のことのように切実に感じ、深く共感することを表す表現です。
「つまされる」は「爪される(つねられる)」が語源で、相手の悲しみや苦しみが自分の身体をつねられるかのように痛く感じられる様子を表しています。
「身につまされる」の使用場面と例文
以下では、「身につまされる」の具体的な使用場面と例文を合わせてご紹介します。
1. 同僚の苦境を知った時
同僚が長期間の病気で仕事を休まざるを得なくなり、その家族の経済的な不安について聞いた時、共感し心を痛めることがあります。
こうした状況に直面すると、自分の身にも起こり得ることだと実感し、より深く考えさせられます。
- 彼の状況を聞いて、本当に身につまされる思いがした。
- 自分も同じ立場になったらと考えると、身につまされる思いで胸が苦しくなった。
- 彼の家族の不安を思うと、身につまされる気持ちでいっぱいになった。
2. ニュースを見た時
災害や事故で家族を失った被災者の話を聞くと、その悲しみや苦しみを思い、自分の家族に置き換えて考えてしまうことがあります。
そうした状況を目の当たりにすると、心が締め付けられるような気持ちになります。
- その遺族の苦しみを聞いて、身につまされる思いで涙が出そうになった。
- 被災地の人々の現状を知り、身につまされる思いで胸が痛んだ。
- ニュースで見た事故の被害者の話に、身につまされる気持ちになった。
3. 友人の悩みを聞いた時
友人が就職活動で苦労している話を聞くと、自分や家族の将来と重ねて考えてしまうことがあります。
特に、就職難や経済の厳しさが身近な問題として感じられると、他人事ではなく強く共感するものです。
- 最近の就職状況を聞いて、自分の子どもの将来のことを考えると身につまされる。
- 友人の苦労を知り、身につまされる思いで言葉が出なかった。
- 若者の厳しい現実を知り、自分の過去を思い出して身につまされる気持ちになった。
4. 社会問題に直面した時
貧困家庭の子どもたちの教育格差など、社会の不平等を知ると、心が痛みます。
特に、自分が何らかの形で関わる問題であれば、なおさら共感し、考えさせられることが多くなります。
- 子どもたちの現状を知って、身につまされる思いでいっぱいになった。
- 経済格差による教育の違いを目の当たりにし、身につまされる気持ちになった。
- 貧困家庭の苦労を聞き、自分にできることを考えさせられるほど身につまされた。
5. 家族の介護状況を知った時
介護の大変さを間近で見ると、他人事ではなく感じられるものです。特に、自分の家族や将来を考えると、より深く共感し、重く受け止めることがあります。
- 彼らの日々の苦労を見て、身につまされる思いがした。
- 介護をしている知人の話を聞き、身につまされる気持ちになった。
- 介護の大変さを目の当たりにし、自分の親のことを考えて身につまされた。
「身につまされる」を使う際の注意点
「身につまされる」は、使い方を誤ると違和感を与えてしまうことがあります。以下で、正しい使用方法を確認しましょう。
「身につままれる」は誤り
「身につまされる」を「身につままれる」と書いてしまう誤用が多く見られます。
「つままれる」は「狐につままれる」のように「化かされる」「だまされる」という意味を持ち、「身につまされる」とはまったく異なります。
わずか1文字の違いですが、意味が大きく異なってしまうため、正しい表記を心がけましょう。
喜びの感情を共感する時には使わない
「身につまされる」は、悲しみや苦しみなどの辛い感情に共感する際に使う表現です。
そのため、「楽しい」「嬉しい」「幸せ」といったポジティブな感情を表現する場面では使用することはできません。
例えば、「友人の結婚式で幸せそうな様子を見て身につまされた」という使い方は誤りです。
このような場合は、「心が温まる」「感動する」「胸が熱くなる」といった表現を使うのが適切です。
教訓的な文脈では使用しない
「身につまされる」は、時折「人のふり見て我がふり直せ」のような教訓的な意味合いで使用されることがありますが、これは本来の意味から外れた誤用です。
例えば「他社の失敗は身につまされる良い例だ」といった使い方は適切ではありません。
この言葉は、あくまでも他者の不幸や辛い状況に対して深く共感し、自分のことのように感じる際に使用する表現です。
「身につまされる」の類語・言い換え
「身につまされる」を別の表現で言い換えたい場合、状況に応じて適切な言葉を選ぶことが大切です。以下では、さまざまな言い換え表現をご紹介します。
同情する
「同情する」は、他人の苦しみや悩みを自分のことのように感じ、労わる気持ちを持つことを意味します。相手の立場に共感し、心を寄せる際に使われます。
- 彼の辛い状況を聞いて、思わず同情してしまった。
- 長年の努力が報われなかったと知り、深く同情した。
- 彼女の境遇を考えると、同情せずにはいられなかった。
他人事とは思えない
「他人事とは思えない」は、他人の出来事が自分とは関係のないことのように割り切れず、強い共感を覚える状況を表します。自分にも起こり得ることだと感じたときに使われます。
- ニュースで見た被災地の様子は、他人事とは思えなかった。
- 友人の苦境を聞き、まるで自分のことのように感じて他人事とは思えなかった。
- 失業した彼の話を聞き、今の経済状況を考えると他人事とは思えない。
ほだされる
「ほだされる」(絆される)は、相手の気持ちや状況に影響を受け、心を動かされることを意味します。特に、情にほだされて行動を変える場面で使われます。
- 彼のひたむきな努力にほだされて、協力を申し出た。
- 子どもの真剣な姿にほだされて、つい手助けをしてしまった。
- 彼女の誠実な態度にほだされ、最初の考えを改めることにした。
見るに忍びない
「見るに忍びない」は、あまりにも気の毒な状況を目の当たりにし、見ているのが辛く耐えられないことを表します。悲惨な場面や痛ましい状況に対して使われます。
- 事故現場の様子はあまりにも悲惨で、見るに忍びなかった。
- 病気で衰弱した彼の姿は、見るに忍びないものだった。
- 劣悪な環境で働かされている人々の姿は、見るに忍びなかった。
気の毒
「気の毒」は、他人の不幸や苦境に心を痛め、同情する気持ちを表す言葉です。特に、予期せぬトラブルや不運に遭遇した人に対して使われます。
- 突然の事故で仕事を失ったと聞き、気の毒に思った。
- 彼女の努力が報われなかったことが、なんとも気の毒だった。
- 病気で長く休職している彼を思うと、本当に気の毒でならない。
慮る(おもんぱかる)
「慮る」は、周囲の状況や相手の気持ちをよく考え、思いやることを意味します。慎重な判断を求められる場面で使われることが多い言葉です。
- 彼の事情を慮って、今回の件は大目に見ることにした。
- 相手の立場を慮り、慎重に言葉を選んだ。
- 社員の負担を慮って、業務の見直しを行うことにした。
愛おしむ
「愛おしむ」には「気の毒に思う」という意味もありますが、主に「大切に思う」「かわいがる」というニュアンスで使われます。愛情を持って相手を思うときに使われる表現です。
- 苦労しながらも懸命に生きる彼の姿が、なんとも愛おしく感じられた。
- 小さな子どもが一生懸命頑張る姿は、見ていて愛おしくなる。
- 両親が私を大切に育ててくれたことを思うと、改めて愛おしい気持ちになった。
「身につまされる」の対義語
「身につまされる」は、他人の苦しみや状況に共感し、深く感じ入る言葉です。その反対に、まったく関心を持たない、気にしないといった態度を表す言葉も存在します。
以下では、「身につまされる」の対義語として使える表現を紹介します。
無関心
「無関心」は、他人の状況や出来事に対して興味や関心がないことを意味します。好き嫌いの問題ではなく、そもそも何も感じない、意識にのぼらない状態を表します。
- 自分が指導した仕事なのに無関心なのはどういう神経をしているのだろう。
- 社会問題にまったく無関心な態度を取るのは、少し考えものだ。
- 彼は周囲の出来事に無関心で、何が起こっても気にする様子がなかった。
気にかけない
「気にかけない」には、特定の物事に対して関心や執着を持たず、気遣わないという意味があります。意識的に気にしないことも含まれる表現です。
- 自分がぶつかったのに、気にもかけずに歩いていってしまった。
- 彼はいつも細かいことは気にかけない性格だ。
- 人の評価を気にかけないようにすることで、仕事に集中できるようになった。
知ったこっちゃない
「知ったこっちゃない」は、口語的な表現であり、相手や物事に対して完全に無関心であることを示します。突き放すような言い方になるため、カジュアルな会話で使われることが多いです。
- 彼がパーティーに来るかどうかなんて、知ったこっちゃないよ。
- 彼が仕事を辞めようが続けようが、正直知ったこっちゃない。
- 他人の噂話なんて、知ったこっちゃないし、興味もない。
「身につまされる」の英語表現
「身につまされる」を英語で表現する場合、最も一般的なのは「hit (too) close to home」です。
他人の不幸や苦労に深く共感する様子を表現する際には「strike a chord of sympathy」や「resonate with me」も使われます。
より直接的な表現としては「feel a deep connection to」や「sympathize deeply with」があり、特に相手の状況に強く共感する場合に適しています。
「身につまされる」まとめ
「身につまされる」は、他人の苦しみや状況に深く共感し、自分のことのように感じるときに使う言葉です。
特に、自分にも同じような経験がある場合や、将来的に起こり得ると感じたときに、強い共感を表す表現として適しています。
また、「同情する」「他人事とは思えない」など、言い換え表現を活用することで、より自然なコミュニケーションが可能になります。
本記事で紹介した注意点や類語を参考にしながら、相手の気持ちに寄り添い、適切な言葉遣いを心がけていきましょう。