雑談は職場で大きな役割を果たす

「雑談」は、仕事とは関係ない話をしているネガティブなイメージを受けますが、職場において大きな役割を果たしています。

具体的には、何気ない会話を通して仕事の細かい根回しができたり、プライベートの情報共有や共通の趣味で盛り上がることでコミュニケーションが深まり、仕事にも良い影響をもたらしてくれます。

実際に、外資系企業などを中心に、オフィス内に雑談しやすいキッチンカウンターやソファーなどのリフレッシュスペースを設けて「雑談を促進」する動きが進んでいます。

雑談は、仕事のパフォーマンスを落とすどころか、逆に社員の業務生産性を向上させ、モチベーションアップにも寄与しています。

具体的には、オフィス内における何気ない会話を通じて、仕事において大切な報告の頻度が増えて細かなアドバイスを受けやすくなるメリットがあります。

細かなアドバイスを受けることで、仕事の躓きを防ぎスムーズに仕事を進められるようになることから、結果的に生産性が向上するわけです。

企業の目指すビジョンも、雑談やカジュアルコミュニケーションを通じて社内に浸透しやすくなることから、結果としてエンゲージメントが向上し、社員のモチベーション向上に繋がるのです。

イノベーションを生みやすい

業務外で話す何気ない会話から、新たな革新的なアイデアが生まれることも少なくありません。

Appleの創業者であるスティーブ・ジョブズも「創造性は何気ない会話から、行き当たりばったりの議論から生まれる」という言葉を残していますが、雑談とイノベーションには深い関係があると言えるでしょう。

つまり、ビジネスの非連続的な成長を生むためにも雑談は非常に大切なので、雑談を軽視するべきではありません。

気軽な雑談は心理的安全性につながる

新しい職場に飛び込んだり、異動などで職場環境が変わったりした際、「一人でも話しやすい人が安心する」と感じる方も多いでしょう。

その際に雑談をすることで、仕事とは異なる信頼関係を築くことができ、社員の心理的安全性を確保することが可能になります。

心理的安全性が築かれることで、上司との会話や面談、チームの会議において積極的に発言しやすくなるなど、社員のパフォーマンス向上に繋がります。

ネガティブな内容よりもポジティブな内容を

雑談の中で、仕事に対する愚痴をついつい言ってしまう人は多いです。

仕事に愚痴を吐き出すことで一定のストレス解消効果があるのは確かですが、できればネガティブな内容よりもポジティブな内容の雑談を心掛けましょう。

「仕事がつまらない」「上司が気に入らない」など暗い話題しか話さない人よりも、「仕事のやりがい」「成長に繋がった話」「とにかく面白い話」など、ポジティブな話をしてくれる人の方が一緒にいて楽しいですよね？

このように、ポジティブな話を多く提供してくれる人のところには自然と人が集まり、明るい雰囲気が出来上がります。

その結果、より仕事の生産性がアップする効果が期待できるので、「雑談の内容」にも注意を払ってみてください。

テレワーク中の雑談コミュニケーションが大切な理由

テレワーク中はリアルに対面しないため、雑談によるコミュニケーションが不足しがちです。

こちらのトピックで、テレワーク中の雑談コミュニケーションが大切な理由について解説していきます。

若手・新入社員との関係性構築に役立つ

近年は「若者のアルコール離れ」などが注目されていますが、そこへ新型コロナウイルスの影響もあって若手・新入社員と交流を深める機会が激減してしまいました。

また、ここ2～3年で入社した社員の中には「一度も出社したことが無い」という人も少なくありません。

このような状況だと、当然のことながら先輩・部下間や上司・部下間で十分なコミュニケーションを取ることができないので、関係性が育たないのは仕方のないことと言えます。

しかし、先述したように雑談を通じて良好な関係性を構築することが仕事のパフォーマンス向上に繋がることから、テレワーク中の雑談コミュニケーションは非常に重要です。

上司や先輩が積極的に雑談を持ちかけて、新入社員や若手社員の緊張を適度にほぐしてあげると良いでしょう。

テレワークにおける心理的安全性の確保

テレワークにおいて、心理的安全性の確保はますます重要性を増しています。

特にオンラインでしか会ったことがない人は、対面に比べてどんな人か理解するまで時間がかかります。

相手がどんな人かわからないと、自分の意見を主張する際にどこまで言っていいのか不安になったり、相手の言動の真意を理解しにくかったりします。

よって、「ここは気軽に話せる環境である」という心理的安全性を確保し、チーム内や上司間の信頼関係を築くためにも、雑談の機会を提供することは非常に重要です。

雑談によって日頃のストレス解消につながる

雑談をすることで仕事とは関係のない話ができるので、ストレスの解消とリフレッシュ効果が期待できます。

仕事に関する愚痴であったり、趣味の話をすることでストレスを解消できる効果があったのですが、テレワークで悩みや愚痴を言う機会が無くなったことでストレスを抱えてしまう社員が増えています。

実際、リアルにオフィスへ出勤していると、小休憩中などに雑談をする機会も多くありましたが、テレワーク中は雑談がしづらいです。

そのため、社員の精神的な健康を守るためにも、意識的に雑談をする必要があると言えるでしょう。

ちょっとしたことも気軽に聞ける

テレワークだと、仕事で行き詰まったり聞きたいことがあっても、実際に近くに先輩がいるわけでは無いので一人で悩んでしまうこともあります。

しかし、雑談がしやすい空気が醸成されており、先輩やチームメンバーに気軽に相談できる雰囲気を作ることができれば、一人で悩む時間を減らして業務効率化に繋げることができます。

このように、ちょっとしたことでも気軽に聞けるような雰囲気を作ることが非常に重要で、これにより社員のアウトプットの質も高まるでしょう。

コミュニケーションが円滑で信頼関係が築ければ、報告・連絡・相談がスムーズにできるようなるので、情報共有も滞りなく行えるでしょう。

モチベーションの維持につながる

テレワーク中に雑談などのコミュニケーションの機会が十分確保されていると、仕事へのモチベーションに良い影響をもたらしてくれます。

上司や先輩から褒められたりねぎらいの言葉をかけられて、嫌な感情を抱く人はいません。

むしろ、前向きな言葉をもらうことで仕事のモチベーションは高まっていくので、やはり雑談などをコミュニケーションを取ることは重要と言えるのです。

業務以外の話題でも、個人的な繋がりを感じられることで心理的な距離が縮まるので、メンバー間で協働意識を持てるようになるでしょう。

雑談を効果的に行うためのポイント

雑談の重要性についてお伝えしてきましたが、続いて効果的に雑談を行うために重要なポイントについて解説していきます。

雑談をするポイントとしては、まず「相手の感情を尊重する」ということが重要です。

先輩や上司の中には、相手の感情を無視して「上から目線で」アドバイスを行ってしまうケースが多いですが、これでは信頼関係を築くことができません。

上から目線でアドバイスをしてしまう（本人のその気は無くても、聞き手がそう感じてしまう場合も含む）と、後輩や部下からが「余計なお世話だ」「自分の考えを否定された」と感じてしまうので、雑談も発展しなくなります。

そのため、信頼関係を築いて雑談を発展させるためにも、まずは相手に共感する姿勢を示した上で話を進めていくことが重要です。

具体的には、相手の感情を表現する言葉に反応したり、相槌などの共感を示すリアクションを取ることで、徐々に信頼関係を構築することができるでしょう。

また、「意識的に雑談をしよう」と考えると、話のネタ探しなどで苦労をすることもありますが、必ずしも前もって雑談の準備をする必要はありません。

目の前に起きていることを意識することが大切であり、実際に相談された内容に真剣に向き合い、失敗やミスを攻めることなく前向きな気持ちで仕事に着手できるように背中を押してあげるようにすると良いでしょう。

テレワーク中の雑談の課題・注意点

雑談にはメリットが大きいですが、注意するべきポイントもあります。

こちらのトピックで、テレワーク中の雑談の課題・注意点などを解説していきます。

雑談が長時間に渡らないようにする

雑談は仕事のパフォーマンスや生産性の向上に繋がる、とお伝えしてきました。

しかし、雑談そのものは仕事とは関係が無いので、雑談が長時間になると仕事のパフォーマンスも生産性も下降してしまいます。

あくまでも、「雑談を通じて築かれた信頼関係」が仕事に好影響をもたらすのであって、雑談そのものが仕事に好影響をもたらすわけでは無い点に留意しましょう。

雑談のし過ぎで自分の成績や評価が落ちてしまうのは大問題なので、雑談が長時間に渡らないようにする意識を持つことも重要です。

雑談を嫌う人の存在にも配慮する必要あり

コミュニケーションの好き嫌いは人によって差があるので、雑談をそこまで好まない人もいます。

そのため、テレワーク中に「雑談タイム」を強制的に設けて、雑談するように仕向けてしまうと逆効果になることもあるので、注意しましょう。

また雑談には参加したいけれど、カメラをオンにはしたくない人も中にはいるかもしれません。カメラのオン・オフを自由にすることも、雑談が苦手な人への配慮になります。

「雑談タイム」を設けることは有意義ではありますが、参加やカメラオンを強制にしてしまうとモチベーションや生産性を下げてしまう恐れがあるので、自由参加にするのがおすすめです。

信頼関係を前提に雑談することが大切

雑談を通じて信頼関係を傷ことが重要ではありますが、信頼関係ができないと雑談が弾まないのも事実です。

「順序的にどちらが先なの？」と疑問を持つ人も多いですが、まずは信頼関係の構築を優先しましょう。

信頼を得るため人は、日頃の仕事に真摯に向き合ったり、後輩から相談を受けた際にも面相臭がらずに理解できるまで指導するなど、先輩や上司として果たすべき役割をきちんと果たすことが重要です。

「この人は信用できる」「この人ともっと話したい」と思ってもらえれば、自然と雑談も弾むようになります。

そのため、信頼関係を無視していきなり雑談を振るのではなく、信頼関係を前提に雑談することが大切と言えるでしょう。

相手の都合を考えて連絡する必要がある

仕事に集中しているときに雑談を持ちかけられると、迷惑に感じますよね。

特に、テレワーク中は相手が仕事をしているのかの判断ができないので、雑談を持ちかけるタイミングを伺うのが難しいです。

自分の都合だけを考えて、無闇に雑談を持ちかけると相手にとって迷惑となり、信頼関係が毀損してしまう可能性があるので気を付けましょう。

そのため、テレワーク中に連絡をする際には、まず相手の状態をコミュニケーションツールなどで把握するようにしましょう。

過度な雑談はハラスメントにもつながる

家族の中に小さい子どもがいたり、ペットがいたりするとWeb会議中に生活音が入ってしまうことがあります。

子どもやペットに関してはプライベートな領域であり、雑談の中で過度に家族のことを聞くとハラスメントになってしまうことがあるので、注意しましょう。

聞いた側に悪意は無くても、聞かれた側が「ハラスメントである」と感じてしまうと、ストレスを抱え込む要因となります。

そのため、雑談の内容にも配慮し、過度な雑談はハラスメントにも繋がるという点を理解しておきましょう。

在宅勤務下での雑談を活性化するための仕組みづくり

続いて、テレワーク中に雑談を活性化するための仕組み作りの一例について紹介していきます。

バーチャルオフィスを導入する

バーチャルオフィスは、オンライン上でオフィスを再現したツールです。社員が常にバーチャルオフィスに入室しておくことで、会話しやすい環境を生み出します。

雑談のきっかけを生み出すMetaLife

数あるバーチャルオフィスの中でも特におすすめなのが、25人まではずっと無料で使える「MetaLife」 です。

MetaLifeは、社員がアバターとなってバーチャルオフィスに集まり、近くにいる人同士で話すことができます。Web会議ツールなどを立ち上げなくても、いつでも顔を見て話せる状態にいるので、テレワークでも雑談を増やすことが可能です。

またアバターは自分でデコレーションすることが可能です。お互いのアバターについてコメントしあうことで、雑談を始めるきっかけにもなります。

さらにバーチャルオフィスは作業用・雑談用などと自由に区分けすることが可能です。雑談用スペースに行けば作業に集中している人に迷惑をかける心配もありません。

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雑談時間をあらかじめ決めておく

雑談タイムを設ける場合、あらかじめ時間を決めて行うと良いでしょう。

いざ雑談が始まると、終わらせるタイミングを逸してしまうこともあるので、予め終了時刻を決めておけばメリハリが付きます。

ダラダラと雑談が続くと、逆に仕事の生産性が落ちてしまい本末転倒になってしまうので、「15分雑談」「何時まで雑談タイム」など、時間を決めておきましょう。

1on1の時間を設ける

上司と部下での個別面談（1on1ミーティング）の時間を設けて、様々な相談をする企業が増えています。

1on1ミーティングでは、自分の意見や主張を伝えやすいので、行う頻度を決めて社員の心理的安全性やエンゲージメント維持に繋げていきましょう。

上司から雑談の機会を積極的に設定することが必要

1on1ミーティングにおいても、上司から雑談の機会を積極的に設定することが重要となります。

もし雑談などのコミュニケーションが不十分で、上司との心理的な距離感が開いてしまうと、部下や後輩は自発的なコミュニケーションを避けるようになってしまいます。

その結果として、十分な信頼関係が構築できずに風通しの悪いチームとなってしまうので、上司自ら雑談の時間を作ってあげましょう。

先述したように、雑談は信頼関係が成立した上で発展するので、上司側から歩み寄って心理的な距離感を埋める意識を持つことが重要です。

ランチタイムの時間を設ける

実際に、オフィスに出社しているとランチタイムの時間を共に過ごして雑談ができましたが、テレワークだとランチに行くことができません。

しかし、特定の人とランチタイムを決めて、ビデオ通話をしながら「オンラインランチ」をすることで、雑談の時間を設けることができます。

ランチライム中は緊張感から解放されて、脳もリラックスしている状態なので、雑談の活性化も期待できるでしょう。

チャットツールで雑談部屋を作る

普段の業務で用いているチャットツールを活用して、雑談専用のスレッドを作るなどして「雑談部屋」を作る方法もあります。

ただ「雑談部屋を作りました。自由に使ってください」というだけでは意味が無いので、上司や先輩が積極的に雑談部屋を活用する意識を持ちましょう。

例えば、上司が週末の予定や美味しいお店の情報などの話を切り出せば、部下も積極的に雑談に参加できるようになるでしょう。

このように、上司側から心理的な距離感を縮める姿勢を示せば、部下からすると相談しやすい空気を感じることができるので、結果的に生産性の向上に繋がります。

ミーティング冒頭でアイスブレイクの時間を設ける

テレワーク中にオンラインミーティングを行う場合は、冒頭でアイスブレイクの時間を設けることも効果的です。

いわゆる「フリートーク」のようなイメージですが、最近話題のお店に行ってきた話など、雑談をする時間を設けることで雑談のタネを見つけることができます。

このように、仕事とは関係ない話をすると相互理解を深めるきっかけを掴むことができるので、ぜひアイスブレイクの時間を設けてみてください。

アイスブレイクにおすすめなトピック

いざフリートークを始めても、最初は何を話せばいいのかわからず会話が盛り上がらない場合があります。

そんな時は上司が率先して以下のような話題を提供するのがおすすめです。

• 趣味・特技
• 休日はどのように過ごすか
• 好きな食べ物
• 出身地
• 最近の流行・話題のニュース
• 家族・ペット

最初はプライベートに過度に踏み込みすぎず、当たり障りのないトピックから始めると良いでしょう。

雑談にまつわる仕組みづくりの事例をご紹介

最後に、雑談の仕組みづくりに関する実際の事例について紹介していきます。

参考になる部分を真似するだけでも高い効果が期待できるので、ぜひ取り入れてみてください。

note株式会社

note株式会社では、テレワーク中に積極的に雑談の機会を設けるために、下記のような取り組みを行っています。

• 雑談タイムの導入
• 個人のつぶやきチャンネル開設
• 常設部屋の設置
• ウェルカムランチの導入
• 部活動チャンネル開設

上記のように、様々な取り組みを通じて「雑談をする仕組み」を作り、コミュニケーションを活性化することで以前よりも周りに相談しやすい環境ができました。

その結果として、仕事がスムーズに回るようになるなど高い効果が出ているので、一つの成功事例と言えるでしょう。

出典：note株式会社「リモートワークで社員同士の雑談を活発にする仕組みを解説してみた

株式会社キャスター

株式会社キャスターでは、オンラインフィットネスや部活動などを通じて雑談をする場を設けています。

「パパママおしゃべり部」などユニークな部活動がありますが、部活動を通じて子どもにおすすめの遊びなどの情報を得られたという声もあり、高い効果を上げていると言えるでしょう。

他にも、グループチャットの中で積極的に雑談を推進するなど、メンバーが心地よくコミュニケーションが取れるようにすることで、仲間意識の醸成に繋がっています。

出典：CHANTO WEB「全メンバーがリモートワーク実現！キャスターが大事にしている雑談の場

株式会社Polaris

株式会社Polarisでは、仕事仲間とのコミュニケーション機会の場を設けるために、「週に2時間だけオープンする雑談ルーム」という取り組みを行っています。

出入りは完全に自由で、誰もが気軽に話しかけられる状態で参加する前提となっています。

また、参加者の雑談を聞くだけの「リスナー参加」も認めるなど、完全にフリーな雰囲気の雑談ルームを設けたところ、業務効率化に繋がったようです。

その理由としては、

• チャットワークでやり取りするよりも会話した方が問題解決が早い
• 一人で考えるよりも人と話した方がアイデアが膨らむ
• プロジェクトや業務の垣根を越えた横断的な相談がスムーズにできる
• チーム以外のメンバーからも有意義なアドバイスがもらえた

上記のような点が挙げられます。

こちらも、雑談導入の好事例となっているので、参考にしてみると良いでしょう。

出典：Polaris「テレワークで雑談タイムを設けるとどうなるのか？」

雑談が大切な理由まとめ

雑談部屋を設けたり、ミーティング中にアイスブレイクの時間を設けるなど、雑談を導入する方法は様々です。

雑談を通して、仕事の生産性・モチベーションが向上したり心理的安全性を得られるメリットがあるので、積極的に雑談時間を設けると良いでしょう。

また、雑談によって日頃のストレス解消も期待できることから、社員の精神的な健康を守るためにも、管理者が積極的に雑談を振るようにすることも重要です。