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「当社」と「弊社」は、どちらも自社を指す言葉ですが、使用する場面や相手との関係によって使い分けが必要です。

間違えて使うと、失礼にあたったり誤解を与えたりする可能性があるため、正しい使い方を理解しておくことが大切です。

この記事では、「当社」と「弊社」の違いや使い分けのポイントを解説し、シーン別の具体的な例文を交えてわかりやすくご紹介します。

「当社」「弊社」の違い

まず初めに、「当社」と「弊社」の違いや、使い分けのポイントを詳しく解説します。

適切な言葉遣いを理解して、ビジネスシーンでの印象をより良くしましょう。

「当社」は社内や対等な立場の相手に使用する「丁寧語」

「当社」は、自分の会社を指す丁寧語であり、特に謙譲の意味合いはありません。

社内や対等な立場の相手に使うことが一般的で、自社の情報や特徴を伝える際に適しています。

社内文書やプレゼンテーション、企業ホームページの文章など、フォーマルでありながら自信を持って情報を伝えたい場面でよく使われます。

「弊社」は社外の人に対して使用する「謙譲語」

「弊社」は、自分の会社をへりくだって表現する謙譲語です。主に社外の人に対して使用され、相手を立てる意味合いを持っています。

取引先や顧客とのコミュニケーションで使うのが一般的であり、敬意を示す言葉としてビジネスメールや会話で頻繁に用いられます。

特に、感謝や謝罪を伝える際に「弊社」を使うことで、丁寧で謙虚な姿勢を伝えることができます。

「当社」「弊社」の使い分け

「当社」と「弊社」は、使う場面や相手との関係によって使い分ける必要があります。

「当社」 は、自社の特徴や強みを伝えたい場面で使用し、特に謙譲の意味を含まないため、社内や対等な相手とのやり取りに適しています。

一方、「弊社」 は、社外の相手への配慮を示す際に使用し、自分の会社をへりくだることで相手を立てる表現となります。

「当社」の使用例

「当社」という言葉は、自分の会社を丁寧に表現する際に使われる表現で、特に謙譲の意味を持たないため、社内や対等な立場の相手に適した言葉です。

以下では、「当社」を使った具体的な例文を、場面ごとにご紹介します。

社内での会議や文書

以下は、具体的な使用例です:

「当社は本年度の売上げ目標として〇〇億円を目指しています。」

「当社の強みである〇〇をさらに強化した新しいサービスを提案します。」

企業ホームページでの自社紹介

以下は、具体的な使用例です:

「当社が目指しているのは地域密着型のサービスです。」

「当社は特に人材育成に力を入れています。」

就職説明会などの場面

以下は、具体的な使用例です:

「本日は就活生のみなさんに、当社のことをご理解いただければと考えています。」

「当社では来年度よりフレックスタイム制導入を予定しています。」

「弊社」の使用例

「弊社」という言葉は、自分の会社をへりくだって表現する謙譲語であり、取引先や顧客への敬意を示す際に使われる表現です。

以下では、「弊社」を適切に活用するための具体的な使用例を場面ごとにご紹介します。

取引先や顧客へのコミュニケーション

以下は、具体的な使用例です:

「弊社のサービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。」

「今後とも弊社へのご支援をよろしくお願い申し上げます。」

会社を代表する正式な報告

以下は、具体的な使用例です:

「先日のミーティングでご提案いただいた件につきまして、弊社にて検討の結果、次のような結果となりました。」

「弊社より正式な契約書を送付させていただきます。」

謝罪や感謝の表明

以下は、具体的な使用例です:

「この度は、弊社の不手際でご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ございません。」

「先日の展示会にご来場いただき、弊社一同、大変感謝しております。」

「当社」「弊社」の類義語

「当社」や「弊社」以外にも、自分の会社を表現する類義語は多数存在します。

以下では、「当社」「弊社」の類義語とその具体的な使い方について解説します。

社内で製品やサービスを指す際に使用する「自社」

「自社」は、へりくだった印象を持たない表現であり、主に社内で使用される言葉です。

「自社製品」や「自社サービス」といった形で、自分の会社が提供するものを指す際に頻繁に使われます。

ビジネスの場では、社内会議や報告書など、自分の会社について客観的に言及する場面で使用されます。

謙譲のニュアンスを含まないため、社外の相手には避けるのが無難です。

「自社」の使用例

「自社の新商品を発表する予定です。」

「自社の強みをもっとアピールしていきます。」

「この技術は自社開発であり、他社との差別化を図っています。」

社内で主に経営層が使用する「我が社」

「我が社」は、主に社内で使用される表現であり、特に社長や役員など経営層が使うことが多い言葉です。

自社に対する愛着や誇りを表現する際に適しており、会社の理念や方針を語る場面でよく使用されます。

一方で、若手社員や部下が使うと不自然に感じられることがあり、上下関係を意識した言葉遣いが必要な場面では注意が求められます。

「我が社」の使用例

「この新技術は、我が社にとって大きなビジネスチャンスになるだろう。」

「我が社は業界でもトップクラスの開発力を誇っている。」

「今後も我が社の発展に全力を尽くしてまいります。」

社外への文書で使用する「小社」

「小社」は、「弊社」と同じく謙譲的な表現であり、自分の会社をへりくだって表現する際に使用されます。

ただし、一般的にはあまり頻繁に使われない言葉であり、文章表現で見られることが多いです。

ビジネス文書やフォーマルな手紙の中で、自分の会社を控えめに表現したい場合に用いられます。また、出版業界など特定の業界でよく見られる表現です。

「小社」の使用例

「落丁・乱丁本はお手数ですが小社営業局宛にお送りください。」

「お手数おかけしますが、小社サポートデスクまでご連絡下さいませ。」

「小社の商品に関心をお寄せいただき、誠にありがとうございます。」

相手の会社を指す「御社」「貴社」

ここまで、自分の会社を指す言葉について解説しましたが、ビジネスシーンでは、相手の会社を指す際に適切な敬語表現を使うことも重要です。

以下では、相手の会社を指す際に用いられる言葉と、それぞれの使用場面について詳しくご紹介します。

会話や面接では「御社」を使用

「御社」は話し言葉(口語)で相手の会社を指す際に使用されます。

特に、面接や電話対応など、直接のコミュニケーションでよく使われる表現です。

敬意を込めて相手の会社に言及する場合に最適な表現です。

「御社」の使用例

面接での例

「御社が求める人物像を教えてください。」

「御社の海外支店で、私の英語力を活かし、貢献していきたいと考えています。」

「御社の製品開発の方針に強く共感しております。」

電話での例

「本日15時より御社の一次面接に伺う予定の●●と申します。」

「御社のサービスについて質問したくお電話いたしました。」

「御社の担当者様に確認事項があり、お電話差し上げました。」

メールや文書、履歴書などの書面では「貴社」を使用

「貴社」は書き言葉(文語)として相手の会社を指す際に使用されます。

メールや履歴書、送付状など、文章での正式なやり取りに適した表現です。

「御社」よりも格式が高く、よりフォーマルな印象を与えます。

「貴社」の使用例

メールでの例

「貴社の設計部を志望しております。本年度の採用予定はございますか。」

「貴社の●●様よりご依頼いただきましたリストの件、本メールに添付いたします。」

「貴社製品のカタログを送付いただき、誠にありがとうございました。」

送付状での例

「貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」

「貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。」

「資料を貴社ご担当者様宛にお送りいたしますので、よろしくご確認ください。」

履歴書での例

「上記の経験をいかし、貴社の営業部に貢献したく応募いたしました。」

「貴社の経営理念に共感し、応募させていただきました。」

「貴社での業務を通じてさらなる自己成長を目指したいと考えております。」

「御社」「貴社」を使用する際の注意点

「御社」や「貴社」は、相手の会社に敬意を表す適切な表現ですが、使用する際には注意が必要です。

以下では、「御社」「貴社」を使用する際の注意点を詳しく解説します。

「御社様」「貴社様」は不適切

「御社」「貴社」を使用する際は、二重敬語に注意が必要です。「御社様」や「貴社様」と表記することは文法的に誤りとなります。

これらの言葉自体がすでに敬意を表す表現であるため、さらに「様」をつけると二重敬語となり、かえって失礼な印象を与えてしまいます。

正しい使用方法としては、「御社」は口頭、「貴社」は文書で使用し、それぞれ単独で相手への敬意を表現しましょう。

一般企業以外は別の呼称を使用する

一般企業以外の組織に対しては、「御社」「貴社」とは異なる特別な敬称が存在します。

以下は、一般企業以外の組織における敬称一覧です。

組織種別

書き言葉

話し言葉

銀行

貴行(きこう)

御行(おんこう)

信用金庫

貴庫(きこ)

御庫(おんこ)

学校法人

貴校(きこう)

貴学園(きがくえん)

貴学院(きがくいん)

御校(おんこう)

御学園(おんがくえん)

御学院(おんがくいん)

病院

貴院(きいん)

御院(おんいん)

省庁

貴省(きしょう)

貴庁(きちょう)

御省(おんしょう)

御庁(おんちょう)

組合

貴組合(きくみあい)

御組合(おんくみあい)

協会

貴協会(ききょうかい)

御協会(おんきょうかい)

法人

貴法人(きほうじん)

御法人(おんほうじん)

郵便局

貴局(ききょく)

御局(おんきょく)

これらの呼称でも、「御」は話し言葉、「貴」は書き言葉という基本的な使い分けは同じです。

「当社」「弊社」まとめ

「当社」と「弊社」は、自分の会社を指す際の表現ですが、場面や相手に応じて正しく使い分けることが重要です。

「当社」は対等な立場や社内向けに、「弊社」は社外の相手に対して使用することで、誠実さや敬意を伝えることができます。

この記事で紹介した使い方や例文を参考に、場面に適した表現を身につけましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。