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ビジネスメールや手紙の結びに使われる「ご自愛ください」という表現。

相手を気遣う言葉として便利ですが、正しい使い方や適切なシーンが分からず、使うのをためらうこともあるかもしれません。

この記事では、「ご自愛ください」の基本的な意味や、ビジネスシーンでの具体的な使い方、さらには注意点までを、実践的な例文とともに詳しく解説します。

これを読めば、相手との関係性や状況に応じた適切な使い方が身につき、より丁寧で心のこもったビジネスコミュニケーションができるようになるはずです。

「ご自愛ください」の意味・読み方は?

「ご自愛ください」は、相手の健康や体調を気遣う際に使われる表現です。

ここでは、その正しい意味や読み方を解説し、適切な使用シーンについて詳しく紹介します。

「ご自愛ください」の読み方

「ご自愛ください」は「ごじあいください」と読みます。

「自愛」という言葉は、自分を大切にすること、自分の健康状態に気をつけることを意味します。

これに尊敬語の「ご~ください」を付けることで、相手に対して「自分の体を労わってくださいね」という気遣いの気持ちを伝える表現となります。

「自愛」の意義について

「自愛」は、「自分を大切にすること」を意味する言葉です。具体的には以下の意味を持ちます。

まず、自分の健康状態に気を配り、体調管理をすることを指します。また、自分の言動を慎み、自重する意味も含まれています。

さらに、倫理学的な観点からは、自己保存の本能に基づいて自分の幸福を追求する自然な性向を表す言葉としても使われます。

このように「自愛」には、心身両面での自己管理や大切にする姿勢が含まれており、相手の健康と安全を気遣う気持ちを込めて使用される言葉です。

ビジネスの文脈では、特に相手の健康面への配慮を示す表現として一般的に使用されています。

「ご自愛ください」の意味

「ご自愛ください」は、相手の健康や体調を気遣う気持ちを込めた丁寧な表現です。

「自愛」という言葉には「自分を大切にすること」「健康状態に気をつけること」という意味が含まれており、相手に対して「自分の体を労わってくださいね」という思いやりの気持ちを伝えます。

この言葉は手紙やメールの結びの言葉として広く使われているほか、口頭でも使用できる便利な表現です。

特にビジネスシーンでは、目上の方に対しても適切に使える敬語表現として知られています。

「ご自愛ください」の正しい使用シーン別例文

「ご自愛ください」は、相手の健康を気遣う際に使われる丁寧な表現です。

ここでは、ビジネスや日常のさまざまなシーンに応じた具体的な例文を紹介します。

手紙やメールの最後の挨拶として

暑中見舞いの例文

  • 厳しい暑さが続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。お忙しい日々かと存じますが、くれぐれも無理をなさらず、ご自愛ください。これからますます暑さが厳しくなりますので、どうぞお体を大切にお過ごしください。
  • 毎日厳しい暑さが続いておりますが、お変わりなくお過ごしでしょうか。体調を崩しやすい時期ですので、くれぐれもご無理なさらぬよう、ご自愛ください。爽やかな秋の訪れを楽しみに、どうぞ健やかにお過ごしください。

残暑見舞いの例文

  • 厳しい残暑が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。夏の疲れが出やすい時期ですので、どうかお体を大切にお過ごしください。秋の訪れが待ち遠しいですが、引き続きご健康には十分お気をつけください。
  • 立秋を迎えたとはいえ、まだまだ暑い日が続いておりますね。お変わりなくお過ごしでしょうか。季節の変わり目は体調を崩しやすいものですので、どうぞ無理をなさらず、ご自愛ください。

寒中見舞いの例文

  • 寒さが一段と厳しくなっておりますが、お元気でお過ごしでしょうか。空気も乾燥し、風邪をひきやすい時期ですので、どうぞ温かくしてお過ごしください。皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。
  • 寒さが身に染みる季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。何かと忙しい時期かと思いますが、どうかご無理なさらず、ご自愛ください。春の訪れを楽しみに、温かくお過ごしください。

年賀状の例文

  • 謹んで新年のお喜びを申し上げます。昨年は大変お世話になり、心より感謝申し上げます。本年も健康に気をつけて、素晴らしい一年をお過ごしください。どうぞご自愛のうえ、幸多き一年となりますように。
  • あけましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。本年も変わらぬご厚誼のほど、よろしくお願い申し上げます。寒さ厳しい折、お体には十分ご自愛のうえ、実り多き一年をお迎えください。

知り合いや恩人に向けたメール例文

  • お世話になっております。いつも温かいご指導をいただき、心より感謝申し上げます。寒暖差の激しい日々が続いておりますので、どうぞご自愛ください。今年も変わらぬご指導のほど、よろしくお願いいたします。
  • いつもお世話になっております。日頃よりご厚情を賜り、誠にありがとうございます。季節の変わり目で体調を崩しやすい時期ですが、どうぞ無理をなさらず、ご自愛ください。引き続きご指導のほど、よろしくお願いいたします。

ビジネスメール

よくあるメールの結びの言葉例文

  • お忙しいところ失礼いたしました。どうかお体には十分ご自愛くださいませ。
  • ご多忙の中、お手数をおかけいたしますが、どうぞご自愛ください。
  • 何かとお忙しいかと存じますが、ご無理なさらずご自愛くださいませ。

相手が体調不良の時に送るメール例文

  • 先日はお体の調子が悪いとのこと、心配しております。無理なさらず、しっかりとご自愛ください。
  • 体調が回復されるまで、無理せずご自愛ください。お身体が最優先ですので、お気をつけてください。
  • どうかご無理をなさらず、十分にお休みください。一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。

季節の変わり目のメール例文

  • 寒さが厳しくなってきましたので、どうかご自愛くださいませ。
  • 季節の変わり目でございますので、くれぐれもご自愛のほどお願い申し上げます。
  • 朝晩の冷え込みが増してまいりましたので、体調を崩されませんようご自愛ください。

長期休暇の前に送るメール例文

  • 長期休暇前でお忙しいかと思いますが、健康にはくれぐれもご自愛ください。
  • 休暇明けに元気なお姿をお見かけできることを楽しみにしております。その間にお身体をしっかりご自愛ください。
  • どうぞ充実したお休みをお過ごしください。リフレッシュされて、またお元気にお会いできることを楽しみにしております。

「ご自愛ください」の類義語・言い換え表現

「ご自愛ください」は、相手の健康を気遣う表現ですが、場面によっては別の言い方が適しています。
ここでは、類義語や言い換え表現を具体的な使用例とともに解説します。

健康な方に使用できる表現

お身体をお労りください

「お身体をお労りください」は、「ご自愛ください」と同じく相手の健康を気遣う表現ですが、より丁寧なニュアンスを持っています。

「労る」という言葉には「大切に扱う」「いたわる」という意味があり、相手の体調や健康を思いやる気持ちが込められています。

季節の変わり目や繁忙期など、体調を崩しやすい時期に使うと効果的です。また、「お身体をお労りくださいませ」と表現すると、さらにフォーマルな印象になります。

  • 繁忙期でお忙しいことと存じますが、どうぞお身体をお労りください。
  • 季節の変わり目でございますので、くれぐれもお身体をお労りくださいませ。
  • 連日のご多忙、心よりお察しいたします。どうかお身体をお労りになり、お元気にお過ごしください。

ご健康をお祈り申し上げます

「ご健康をお祈り申し上げます」は、相手の健康を願う気持ちを丁寧に伝える表現です。

「ご自愛ください」や「お体にお気をつけください」と比べると、より改まった印象を与えるため、特に取引先の役員や重要なクライアントとのやり取りに適しています。

この表現は単独で使用することもできますが、「みなさまのご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます」や「今後のご健康をお祈り申し上げます」のように、文を展開することで、より格式高いメッセージになります。

ただし、親しい相手に使うとやや堅苦しい印象を与えることがあるため、状況に応じて使い分けることが望ましいです。

  • 皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
  • 今後とも変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げるとともに、ご健康をお祈り申し上げます。
  • 寒さ厳しい折、どうかご自愛のうえ、お元気でお過ごしください。皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。

お体にお気をつけてお過ごしください

「お体にお気をつけてお過ごしください」は、相手の健康を気遣う表現で、季節の変わり目や年度末など、体調を崩しやすい時期に使用すると効果的です。

この表現は、「お体」と「お過ごし」という二つの敬語を含むため、より丁寧な印象を与えます。文頭に「どうぞ」や「くれぐれも」を添えることで、さらに丁寧な表現になります。

また、「お忙しい中」「季節の変わり目ですので」などの前置きを加えることで、より状況に応じた気遣いのある言葉になります。

  • 季節の変わり目でございますので、どうぞお体にお気をつけてお過ごしください。
  • 年度末のお忙しい時期かと存じますが、くれぐれもお体にお気をつけてお過ごしくださいませ。
  • 急に冷え込む日が増えてまいりました。風邪など召されませんよう、お体にお気をつけてお過ごしください。

体調が良くない方へ使う表現

1日も早いご回復をお祈りいたします

「一日も早いご回復をお祈りいたします」は、病気や怪我で体調を崩している方に向けて、回復を願う気持ちを込めた丁寧な表現です。

特に、手術後や入院中の方に対して使うことが多く、相手を思いやる気持ちを伝えることができます。

ただし、回復の見通しが立たない状況や、長期療養が必要な場合には、回復を急かすような印象を与えてしまう可能性があるため、慎重に使用することが望ましいです。

  • 体調を崩されたと伺い、大変心配しております。一日も早いご回復をお祈りいたします。
  • 手術が無事に終わったとのこと、安心いたしました。どうかご無理なさらず、一日も早いご回復をお祈りしております。
  • しばらくの間、ご静養のうえ、一日も早いご回復をお祈り申し上げます。

養生なさって下さい

「養生なさってください」は、病気や怪我で体調を崩している方に対して、長期的な回復を願うより丁寧な表現です。

「お大事になさってください」よりも、症状が重い場合や、長期療養が必要な場合に適しています。

この言葉には、ゆっくりと時間をかけて体調を整えてほしいという配慮の気持ちが込められているため、入院中の方や自宅療養をしている方に対して使用するのが一般的です。

  • しばらくの間、どうかゆっくりと養生なさってくださいませ。
  • 季節の変わり目でもございますので、どうかご無理をなさらず、養生なさってください。
  • しっかりと休養を取り、くれぐれも養生なさってくださいますようお願い申し上げます。

お大事になさって下さい

「お大事になさってください」は、体調不良や病気、怪我をされた方に対して使用する気遣いの言葉です。

主に症状が比較的軽い場合に使われ、相手の早期回復を願う気持ちが込められています。この表現は、メールや手紙だけでなく、直接会話の中でも使いやすい言葉です。

ただし、重症の場合や長期療養が必要な場合には、「養生なさってください」や「静養なさってください」といった表現の方が適切です。

  • どうか無理をなさらず、しっかりとお休みになり、お大事になさってください。
  • 早く回復されることを心より願っております。くれぐれもお大事になさってください。
  • お身体が第一ですので、しっかりと静養なさり、お大事になさってくださいませ。

「ご自愛ください」の誤用や注意点

「ご自愛ください」は丁寧な表現ですが、使い方によっては不自然になったり誤解を招くことがあります。

ここでは、誤用を避けるための注意点や適切な使用方法を詳しく解説します。

「くれぐれも」や「どうか」を使って丁寧に伝えよう

「くれぐれも」や「どうか」といった副詞を添えることで、相手を気遣う気持ちをより丁寧に表現することができます。

「くれぐれもご自愛ください」や「どうかご自愛ください」のように使うことで、より深い思いやりの気持ちが伝わります。

特に目上の方や取引先に対しては、「何卒(なにとぞ)ご自愛くださいませ」のように「何卒」を付けたり、文末に「ませ」を加えたりすることで、より丁寧な表現になります。

また、「ご多忙の折とは存じますが、くれぐれもご自愛ください」のように、相手の状況に応じた言葉を添えることで、より心のこもった気遣いを示すことができます。

「お体」をつけると重複表現になり不適切

「ご自愛ください」という言葉には、すでに「体を大切にしてください」という意味が含まれています。

そのため、「お体をご自愛ください」という表現は、「体を」が重複してしまう不適切な表現となります。

このような二重表現は、ビジネス文書において不自然な印象を与え、相手に違和感を感じさせる可能性があります。

正しくは、単に「ご自愛ください」とシンプルに伝えるか、より丁寧にする場合は「どうぞご自愛くださいませ」「何卒ご自愛ください」といった表現を使用しましょう。

風邪や怪我をした人に対しては使用を避ける

「ご自愛ください」は、現在健康な状態の方に対して「これからも健康でいてください」という願いを込めて使用する表現です。

そのため、すでに体調を崩している方や怪我をされている方に対して使用することは適切ではありません。

このような状況で「ご自愛ください」を使用すると、相手に対して配慮に欠ける印象を与えてしまう可能性があります。

代わりに、体調が優れない方には「お大事になさってください」「ご静養ください」「早期のご回復をお祈りしております」などの表現を使用することをお勧めします。

症状が重い場合は「養生なさってください」「静養なさってください」といった言葉を選ぶことで、より適切に相手を気遣う気持ちを伝えることができます。

「慈愛」とは異なる意味

「慈愛」と「自愛」は、漢字が似ているため混同されやすい言葉です。

「慈愛」は、親が子どもを慈しむような深い愛情を表す言葉で、「我が子を愛するようないつくしみの気持ち」を意味します。

一方、「自愛」は「自分を大切にすること」を意味し、健康に気を配り、体調管理に気をつけるという意味合いで使用されます。

「ご慈愛ください」という表現は誤りであり、使用すべきではありません。これは「(私に)深い愛情を与えてください」という不適切な意味になってしまうためです。

ビジネスシーンで相手の健康を気遣う際は、必ず「ご自愛ください」を使用するようにしましょう。

特に目上の方や取引先に対して使用する場合は、「どうぞご自愛くださいませ」のように丁寧な表現を心がけることが重要です。

「ご自愛ください」と言われた際の返答方法

「ご自愛ください」と言われた際には、感謝の気持ちを伝えることが大切です。

ここでは、ビジネスシーンや日常で使える適切な返答方法を具体例とともに解説します。

ビジネスにおいては返信が必要かどうかを確認

ビジネスにおいて「ご自愛ください」という言葉を受け取った際、必ずしも返信が必要というわけではありません。

特にメールの末尾に添えられた「ご自愛ください」に対しては、返信の必要性は状況によって判断します。

定型句として使用された場合は返信は不要ですが、体調不良を気遣われての言葉や、特別な配慮として「ご自愛ください」と伝えられた場合には、感謝の意を示す返信をすることが望ましいでしょう。

返信する場合は、「お気遣いありがとうございます」といった感謝の言葉に加えて、「〇〇様もどうかお体にお気をつけください」など、相手を気遣う言葉を添えると丁寧な印象を与えることができます。

ただし、すでに別件で返信をする予定がある場合は、その際にまとめて感謝の意を伝えても問題ありません。

感謝の気持ちを伝えつつ相手への配慮を示す

また、「ご自愛ください」と言われた際は、まず相手の気遣いに対する感謝の気持ちを伝えることが大切です。

「お気遣いいただき、ありがとうございます」や「温かいお言葉を頂戴し、感謝申し上げます」といった言葉で感謝の意を示しましょう。

その上で、「〇〇様もどうかお体にお気をつけくださいませ」や「〇〇様もご健康にお過ごしくださいますように」といった形で、相手の健康を気遣う言葉を添えると丁寧な返答となります。

ただし、くどくなりすぎないよう、簡潔に述べることを心がけましょう。季節の挨拶や体調を気遣う言葉を添えることで、より自然な返答となります。

「ご自愛ください」を英語で表現すると

「ご自愛ください」は、英語で "Please take care of yourself." と表現するのが一般的です。

より丁寧に表現したい場合は、"Please take good care of yourself." や "Please look after yourself." も適切です。

また、季節の挨拶と組み合わせる場合は、"As the weather is getting colder, please take care of yourself."(寒くなってまいりましたので、どうぞご自愛ください)のように表現すると、より自然になります。

さらに、フォーマルな表現としては、"I hope you will continue to take good care of yourself."を使うと、より丁寧な印象を与えます。

ご自愛くださいまとめ

「ご自愛ください」は、相手の健康を気遣う丁寧な表現として、ビジネスメールや手紙で幅広く活用できます。

目上の人にも使える言葉ですが、「お体を」などの余計な言葉を付けないよう注意が必要です。

季節の挨拶や結びの言葉として活用することで、相手への思いやりが伝わり、より良好な関係構築につながります。

本記事で紹介した例文やポイントを参考に、ぜひ実際のビジネスコミュニケーションに取り入れてみてください。